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気の毒な耳 「放射線-東京新聞」・「紙つぶて-中日新聞」
2000年から縁あってフィンランドと行き来をしている。この国の静けさは有名だ。自室の物音がすべて隣人に聞こえてしまうのでは、という恐れ。自分の鼓動が日常これほど聞こえる驚き。春初めに、解けかかった雪を載せた木々から小鳥の声が聞こえる喜び... -
マナー 「放射線-東京新聞」・「紙つぶて-中日新聞」
日本は社会性に乏しい。島国であるために、他国や他民族と折衝が少なかった国であるためにそれは仕方がないかもしれない。しかしこうして世界が狭くなった現代では、それでは済まされなくなっている。 コンサート会場でのマナーもいろいろなところで語ら... -
成 長 「放射線-東京新聞」・「紙つぶて-中日新聞」
今の日本は人生の年齢に例えるといったい何歳でどんな人間に成長しているのだろうか考えてみた。この戦後生まれの日本はまだ二十歳そこそこで、幼い頃から優等生で、皆さんに褒められて大きくなってきた。しかし今重い心の病を抱えていて世界がその病状を... -
右側か左側か 「放射線-東京新聞」・「紙つぶて-中日新聞」
関東は左、関西は右。エスカレーターに立ち止まる場所の話だ。歩行者と車の区分も世界中、文化圏で異なっている。 そして日常の左右の大きな問題として駅の階段の上り下りのシステムがある。ホームのスタイルと利用客の多少で駅によって実に様々(さまざ... -
根っこ 「放射線-東京新聞」・「紙つぶて-中日新聞」
今年の春は駆け足でやってきた。北欧の春のように。三月はじめに日差しに誘われ部屋の前のささやかな庭で土いじりをした。まずはツタ類を除去。これが大変な作業だった。縦横へ細かく深く根を張っている。こまめに葉を摘んでいってもあっという間に庭いっ... -
増えています 「放射線-東京新聞」・「紙つぶて-中日新聞」
女性指揮者は増えている、もはや希少価値ではない。これはこのところインタビューの際に必ずおこたえしている回答だ。アメリカはお国柄であろう、女性指揮者が多い。東欧圏では昔から複数の人がコンサートで活躍、中欧ではオペラの世界に多い。北欧圏は数... -
はじまり 「放射線-東京新聞」・「紙つぶて-中日新聞」
夏は日本では1年の中間。また現在活動の場のフィンランドでは新しいシーズンの前の長い休みの時期、年度末という終わりの季節でもある。そんな時期に二つのことが自分に始まる。 ひとつはこのコラム、そしてこの2年ほど企画に動いてきたフィンランド人... -
日立フィルハーモニー第 15 回定期演奏会 プログラムノート
1957 年 9 月 20 日、ジャン シベリウスは夕方静かに息を引き取った。翌日の報道は大きなものだった。そしてその同じ紙面のほんのわずかのスペースに、同じく 9 月 20 日で 72 歳の生涯を閉じた作曲家の記事があった。ヘイノ カスキだった。<前奏曲 変... -
ラハティ交響楽団2003年来日公演プログラム掲載コラム
コラム 2003 年 9 月 1 日、第 4 回シベリウス音楽祭は「カレリア序曲 Karelia-alkusoitto 」のリハーサルから始まった。5ヶ月ぶりに聴くラハティ響-オスモ・ヴァンスカ氏の演奏。このコンビにはすでにお馴染みの作品でもリハーサルから決して手を抜か... -
品川区民管弦楽団 ’03品川区民秋のコンサート
コラム「 Suomi の風景と3つの S ~ SAUNA ・ SISU ・ SIBELIUS 」 シベリウスプログラムに寄せて1 月、新年を祝うのは 1 日だけ、 2 日目からは通常の仕事が始まる。厳しい寒さの中、朝 7 時頃から仕事場の明かりは灯る。もちろんまだ真っ暗。2 月、最...