音楽の友社「標準版ピアノ楽譜」ーピアノ小品集・北欧編

音楽之友社が全10冊のシリーズで刊行している、ピアノ小品集の北欧編の解説を担当いたしました。
詳細の情報は、こちらをご覧ください。
ピアニストの舘野泉先生監修、楽譜校正と運指は舘野先生にも師事されたピアニスト久保春代先生がご担当。
2024年春先に舘野先生よりご連絡をいただき、解説の担当のご依頼をいただきました。北欧5か国+エストニアという広範囲であることと、ピアノ曲ということで自分の非力を感じる日々でしたが、様々な資料や研究者のお言葉もふくめお力をいただき、なんとかお役目を果たすことができました。

北欧音楽にはすでに35年ほど関わっていますが、常に問題になるのは新しい資料のリサーチです。
日本語で書かれたものが少ないということもありますが、まだまだ未知の分野、紹介されていないことの多い分野です。そのためリサーチの資料は常にアップデートして最新のもの、また信頼できる資料を求めてゆかないといけません。現在北欧音楽の研究者は少しずつ増えています。新しい資料と、古い資料の精査をきちんと行っている方々が発表されているものに、私自身も助けていただいている状況です。本国から出版されている資料も含めてリサーチを続ける日々です。

今回は、楽譜のことだけではなく作品が生まれた国々についての概説があります。
そのため、様々な専門分野の方のご著書からも多くを学びました。この執筆をしている期間にも、フィンランドやシベリウスについて演奏家の方とお話しする機会がありましたが、やはり皆さん昔の情報がインプットされたままであることを知りました。各専門家の方も訂正が大変だ、という話を伺ったことがあります。北欧音楽についてお話しする機会に、私自身も訂正やアップデートをお伝えするようにしていますが、少しずつですね、浸透するのは。
ひとつだけ・・
フィンランド民族はアジア起源である・・・アジア系である・・・
というのは、現在学問上否定されています。言語の分類により以前は日本語と同じ「ウラル・アルタイ」に属するとされ、それゆえアジア系という話が19世紀に流れていたそうです。現在は「ウラル語」「アルタイ語」は2分化されて考えられているようです。ただ、両者の言語的特徴は類似する部分もあります。
また、21世紀に入りまもなくフィンランド人の遺伝子調査の報も新聞でみました。あくまでヨーロッパ人であるということ。しかし2016年に更なる研究結果がでており、フィンランド人の遺伝子はほかのヨーロッパ諸国とは異なる特徴がみられるものである、ということ。この詳細は素人の私が語るべきではありませんが、染色体レベルで独特な特徴を持っているとのことです。(2016年学術雑誌ネイチャー掲載)人種というものをどのレベルで分類するのか、それはその専門分野の方の仕事と思います。フィンランド研究者もこの点見守っているそうです。現時点では人種的な起源と言語や文化はわけて考えるべきというのが主流だそうです。

シベリウスについても、様々な説があるようですが、それは自分の活動の中で少しずつお話ししてゆきたいと思います。
ピアノ小品集、素敵な作品が並んでいます。ぜひお手に取っていただけますと幸いです。
音楽之友社のサイト上で詳細をご確認ください。よろしくお願いします。

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