右側か左側か 「放射線-東京新聞」・「紙つぶて-中日新聞」

関東は左、関西は右。エスカレーターに立ち止まる場所の話だ。歩行者と車の区分も世界中、文化圏で異なっている。
  そして日常の左右の大きな問題として駅の階段の上り下りのシステムがある。ホームのスタイルと利用客の多少で駅によって実に様々(さまざま)に定められている。都内の大きな駅ではラッシュ時間帯は戦場のようだ。

 その原因が上り下りの設定の仕方が問題ではと思う場所もいくつかある。プラットホームの両側に電車が到着する駅では、階段の上り下りを左右に分けるスタイルの場合問題が多い。区分けを厳密に守ろうとする人間と到着ホームの下車客がどうしてもぶつかるからだ。中央をホームへの上り。左右両方に下りのスペースを設けてあるところは、そのぶつかりのストレスが少ない。総武本線では中央にエスカレーターも設置してあり、車椅子(いす)などの対応も可能だ。過密地帯の場所では知恵をつくして問題を解決するようにぜひお願いしたいものだ。
 

 オーケストラにも左右の問題がある。最近多くなった対向配置である。指揮者を挟んで第1バイオリンと第2バイオリンが向かい合う。私はこれを採用するためにはホールの音響の問題も念頭に置く。歴史の中で試行錯誤して作られてきたホールという楽器の環境も大切だ。対向配置にすると他の弦楽器の配置も様々なスタイルが生まれる。国により時代により諸説あり作品によっても選択の幅がある。

 大事なのは演奏する場所と演奏者にふさわしい方法を選択することだと思う。作曲者の意図が客席に届かなくては意味がない。作曲家の言葉が伝わるように演奏を導くのが指揮者の務めである。(指揮者)
 

「放射線-東京新聞」・「紙つぶて-中日新聞」
2004年7月28日夕刊 掲載

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