なぜ北欧音楽を? その1

このところ北欧作品の演奏の機会がお陰さまで増えてきて、この質問を多く頂く。

 北欧の作品とのはじめの出会いは もちろんグリーグ「ペールギュント組曲」そして「ピアノ協奏曲」。このうち「ペールギュント」の方は、子供の頃小学館から出版されていた《子供音楽館》という素晴らしい12巻セットの本がきっかけである。これはレコード(CDではない)・絵本・楽譜がセットになったものであった。それぞれタイトルがあり、その音楽とそれに関する絵本、そしてその作曲家のピアノ曲、又はオーケストラ曲のピアノアレンジなどが載っている楽譜がセットになっていた。「ピーターと狼」が第一巻だったと記憶する。
語りは、真理よしこさん。実家にまだ保存してあるので今度確認をしてみよう。これは恐らく5歳頃から何ヶ月かごとに発行されていたものを順に購入していた。その中の一つが「ペールギュント」。ただ子供の頃のこのシリーズのお気に入りは「ピーターと狼」「白鳥の湖」というロシア音楽であった。その巻に含まれていた、チャイコフスキーのピアノ曲も非常に好きで飽きもせず弾きつづけていた。「ペールギュント」には絵本の独特の暗さとお話の難解さが記憶に焼きついている。「この人は一体どういう人なのだろうか・・」という疑問とともに。

 この暗さ、これを北欧のイメージとしてしばらくひきずる。7歳の時に札幌で見たチャイコフスキーの伝記映画でグリゴリーソコロフ氏を知り、それ以来チャイコフスキーのピアノ協奏曲の虜となる。手は大きくないので届くはずのない音の連続だったが、弾いたつもりで頭の中で鳴る音のままひたすら全曲分の時間だけは過ぎて行く。

 父の仕事がロシア語を専門とするものであるため、ロシア人との出会い、ロシア語の響き、ロシア音楽(民謡も含めて)が一番身近にあった。札幌で過ごした子供の頃、恐怖を覚える曲が2曲あった。ムソルグスキー「禿山の一夜」・ショスタコーヴィッチ交響曲第5番の第2楽章。この二つは無性に聴きたがったが同時に怖がっていた。思春期は引き続きロシア一辺倒。そして時は過ぎ、高校からはじめたヴァイオリンを手にしてアマチュアながらオーケストラや弦楽アンサンブルで演奏する中で多くの作品を体験していく。この詳細は省くが、ここでイギリスの弦楽オーケストラ作品と出会ったのが今の北欧への第一歩だったのである。そして20代半ば、オーケストラ作品として出会った2番目の作品がシベリウス作曲交響曲第1番だった。今思うとロシアから北欧への移行には必然的な作品だったかもしれない。
(つづく)

2002年10月11日
 

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