本日はこのシベリウス全集版を2冊抱えて長野に行きます。はじめてのオーケストラとの出会いです。
Varsang(文字表記が正確ではないのですが、スウェーデン語です)春の歌 作品16を演奏します。
この曲はアイノラ響の第3回定期演奏会にて2種類の版の演奏をしました。当時まだこの全集版が出ていなかったので、1895年版と呼ばれるものは特別の許可を取ってアンコールだけでの演奏。
現行版の1903年11月に出版されたものも、今回全集版では校訂報告を含む楽譜が掲載されています。細かなところで以前と違います。
今回この曲の全集版編集責任者であるTuija Wicklund氏の報告書を読んでみていろいろと複雑な状況がわかってきました。
実際これまでも楽譜として存在するものは2つだったのですね。しかし過去の記録、シベリウスの言葉などから3種類の版が存在するはず・・・・という前提で研究書にも明記されていました。が・・・・・・・・・
1894年に初めの版で演奏された事実はあります。そして1895年に改定版が演奏されたという事実もあります。そして1903年にはじめて出版されたという事実があります。
現在残る2種類の版の大きな違いは調性。初めがD-Dur(ニ長調)、現行版はF-Dur(ヘ長調)この違いは大きいですよ!もちろん寸法もオーケストレーションも構成も様々異なっています。これらが事実としてあること。
今回の報告書で気がついたことは、1895年の改訂時点ですでに現行のF-Durの版であったのでは・・・という指摘。このことは現在BISから出ているシベリウス全集のCD解説文にも盛り込まれています。それを読んだときに「え!」と思ったので報告書を全文読んでみました。
こちらが全集版の中では1894年版とされているものです。これと以前演奏した1895年版は大きな違いはありません。アーティキュレーションとダイナミックスの細部の違い、練習番号のつけかたの異なりだけです。校訂者によると1895年版のD-Durというものが1894年版にあたるのではという見解です。
複雑化させている原因は、1894年を聞いた批評文の表現に「タンバリンが入る」「スペイン風ダンス」という表記があったこと。これは現在残るどの版にもないことです。むしろ作品16以前のものにあるのでは・・・と個人的には思っているのですが・・・そこは浅学の判断。危険です。
昨年没後50年を迎えた作曲家。やはりシベリウスは新しい人なのです。資料としての直筆譜、メモが整理研究されはじめてまだ日が浅い作曲家。上記のこともこれまで権威とされてきた研究書の記述とは異なる内容になります。おそらくまだまだこれから発見があることでしょう。
日々動向を追いたいと思いますが、心配なことが・・・・・
はたして自分の寿命があるうちに全集版が完成するか否か・・・・大変な仕事であると思うのですが、こればかりは祈る思いで残りを待ち望んでいます。
そういえば、1907年にマーラーはこの春の歌をヘルシンキで聞いているのですよね。そのときの印象?アルマ夫人におききください・・・!!
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