アンサンブルフランウィンターコンサート2009終了


 本日のプログラム、4人の作曲者のうちお二人です。

右から、町田育弥さん、私、喜多形寛丈さん。

武満徹氏もメンデルスゾーン氏も会場のどこかにいらしたのでは・・・と思っています。


 本番、フランの集中力の高さがそれぞれの作品の描き分けに大きな力を発揮しました。

このアンサンブルはリハーサルの時とは全く違う次元で本番を作ることができます。本番を楽しむ余裕、それは逆に言うとリハーサルでの細部の詰めと、アンサンブルの方向性の確認。漠然としたセクションという枠ではなく、個人レベルでお互いを理解して音を聞いているからできるアンサンブル。そのようなところを目指しているグループです。

本日もそれぞれの作品の時間を楽しみました。

町田さんの作品は、自分の過ごしてきた時間を懐かしく思い出し、武満作品は、あの曲が描いた「黒い雨」の事実の厳しさと恐ろしさへ一瞬で魂を運ばれます。

そして新作の喜多形作品。技術的にもかなり困難なものが書かれていましたが、それはすべてこのアンサンブルフランのメンバーを知っていて書かれたもの。メンバーの性格さえもわかってソロを書いているという・・・・本当にありがたい作品でした。仕掛けは山ほど、トリックもパズルもパロディも山ほど。意図されたことを完全には今回表現しきれませんでしたが、少し時間をおいてまたトライしてみましょう!作品をありがとうございました。

そして後半、大きな半円の中で指揮をしました。メンデルスゾーンの八重奏。本番ならではの良い流れと響きになったと思います。若い作品ですが、メンデルスゾーンの早熟の天才たる所以がよくわかる作品です。影の部分の色合いや、早熟ゆえにメンデルスゾーンには見えていたであろう現実の美しさと醜さも感じる作品です。調性感のセンスを試されているような作品でもあり、その点を今回はとても気を使いました。フランの皆さんの底力発揮です。

アンコールには、もう一度町田さんの「君のいる場所」。広がったアンサンブルからは、おそらく違う響きが聞こえたことと思います。

今日はお客様に懐かしいお顔もあり嬉しかったです。皆さんお忙しいところ、本当にありがとうございました!

レセプションから二次会は、フランのもう一つのアンサンブル能力「違う話をしているのに、なぜか会話が成立している、または成立しているつもりで話し続けてなぜか全員が笑っている」そんな時間でした。

30年以上のアンサンブル歴史を持つメンバーが母体となり、今や20代の若者も入ってきました。緩やかな世代の受け渡しがあと10年、20年後?には始まっていると思いますが、正直のところ創立メンバーがきっと一番元気であり続けるであろう・・・・と、感じます。

皆さんお疲れ様でした。来年、またご一緒します。

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コメント

コメント一覧 (2件)

  •  いつもながら意欲満々の気構えが快く伝わってくるコンサートでしたね!曲への共感度という点で、メンデルスゾーン氏だけが「外人」だということがまざまざとわかったのも、面白かったところです。こういういつも新鮮で質の高い演奏が聴けるのは本当に幸せです。ありがとうございました。

  • >junsinさん
    ご来場ありがとうございました。
    そしてコメントも早速ありがとうございます!
    新しい作品というのは、新しい土地への旅と同じです。
    自分たちで道を切り開くことが楽しい。そういう気持ちで、どんな作品にも向き合っています。
    またお聴きいただけましたら嬉しいです!

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