時のすきまに


 これは昨年の秋に両親が撮影した庭のコスモスです。

仕事納めの後、東京の自分の部屋を片付け始めましたが、とても一筋縄ではいかず・・・新年に持ち越すことにしました。現在はなるべく実家で母と過ごす時間を多く持ちたいと思います。

12月25日を目標に、ひたすら走ってきた今年のラスト二ヶ月。

 様々な思いは封印して、過ごしてきたように思います。父の書斎を借りて勉強や作業をしていると、その椅子に身をおいていることが不思議でもあり安心でもあり、そして失ったことの大きさを前にして、最後には自分の中の時が止まります。

誰もが経験しなくてはいけないことであり、生き物としての宿命でもあります。それでも、時の中で自在に泳ぐすべを持つ人間は、その時の価値を、行きつ戻りつして確かめ、反芻するように過去の実感を五感をすべて使ってよみがえらせ、目の前の時の流れの隙間にその姿を見ます。

山ほどの悔いは残ります。ゆっくりと心を返していこうと思っていた矢先に突然逝ってしまった父。大事にするべき時はすぐ身近にあったのにと・・・・近年の自分の乱雑な日々を振り返ります。

父は語学そのものが専門でした。そして社会学も専攻していました。書斎に並ぶ古いロシア語の書物はさすがに私は生かすことはできませんが、読むことができそうなものは、人生の後半じっくりと読み継いで行きたいと思います。自分のライフワークはお隣の国、フィンランドですが、きっとその両者の歴史と文化を見つめることで、また新しい道が見えてくることでしょう。

母は元気にしています。日々の生活をきちんとする人・・・それは私にはない資質です。いまの流行の「もったいない」をずっと実践してきた人です。きれいに花を咲かせる人です。朝は水やりから始まります。「生活」をおろそかにしてきた私には、現在の母との日々は人生のある年代からのやり直しをしているような感覚です。

まだ2008年の道は見えません。今年走ってきた道をもう一度踏み固めてみたいと思っています。そして確実にすること、そこからより強い一歩が生まれるであろうこと。そんな1年を目指してみましょう。

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コメント

コメント一覧 (2件)

  •  新田先生にとって2007年は、父上様とのお別れという「悲」とクッレルヴォの大成功という「喜」に遭遇された、お忘れになれない年と思いますが、2008年は新田先生の感動的なコンサートに行こうという聴衆や、先生と一緒に生命力溢れる音楽を創造したいというオーケストラが増える年だと確信しております。ご活躍を心からお祈りいたします。

  • >junsinさん
    コメントありがとうございます。昨年はたくさんお世話になりました。蓄積を生かせるように一歩すすみます。
    また、よろしくお願いします。

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