アイノラ交響楽団第3回定期演奏会終了


昨日は多くのお客様のご来場本当にありがとうございました。
お花見の休日を返上してホールに駆けつけてくださった皆さんに深く感謝申し上げます。
そして例年同様全国からのご来場。その想いを感じるだけでも身が引き締まります。


1日のエイプリルフールには少しデッドな会場でのリハーサル。これが良かったと思います。
メンバーは最後のチェックで「!!」という想いもあったかと思いますが、現実を知るのは大事です。


このアプリコホールでの演奏にも慣れてきました。そして今年は思い切って対向配置。
コントラバスは最後方に。
この配置はシベリウス自身がタクトを持ったときに行ったものを参考にしています。
1915年12月8日シベリウスの50歳の誕生日祝賀コンサートです。
このときは交響曲は第5番が演奏されています。アプリコホールの特性と我々のサイズも考慮して、少しアレンジしています。
ハープがセンターというのは、第1回目でも試みました。
6番の交響曲はこのハープの意味が非常に大きい。
遠方のお客様という位置であっては駄目だと考えて今回もセンターを選択しています。

今回のサプライズ「春の歌-1895年版」は、取り上げるなら両方一度に演奏したい!という想いから出発して許可を取り付けました。
限られた楽譜なので扱いが大変でありました。

現行版と1895年版のどちらがお好きですか?

「夜の騎行と日の出」は”わけわからん”というお客様もいらっしゃった一方、時間の推移を音の空間の中に感じ取ってくださった方もいらっしゃいました。
この作品の荘厳さには敬服です。
そして命があることの有難さをタクトを持ちながら深く深く感じる作品で、恥ずかしい話泣かないようにするのが辛い想いです。
実際の演奏は難しいことこの上なく、”シベリウスさん堪忍や・・”と泣きたくなるのです。
でも本番は自分の背中にSUOMIの大地の悠久の時間を背負った感覚でした。

ステーンハンマルは初挑戦。
この「交響的カンタータ-歌」原曲も素晴らしく美しい作品です。
その中の間奏曲を今回は演奏しました。
メンバーの中にステーンハンマルを追求している人がいて実現したプログラムです。

 

 メインの交響曲第6番。これについては多くを語れません。
私もこの作品のタクトは3回目でした。
毎回発見があり毎回何かを忘れていたような感覚を持ちます。
決して満ち足りて終わるという作品ではないのだと思います。
エンドレスで永久につながっていく作品ではないかと感じます。
人生の四季。一人の人間の時間ではなくて、人類や生命すべての共通の時間、共通の季節・・・そんなものを感じます。
静寂が多くを語っている作品です。(結局語っています・・ね(^_^;))

とにかくアイノラ響のメンバーはみんなこの作品が好きでした。
その想いを持って楽譜を見ることがどんなに素敵でどんなに大変であったか・・
指揮者としてはまだまだやるべきことがあったと思います。
だから今回の演奏を持って、第一回目からの「アイノラ響成長期」第1章を終わりと位置づけたいと思います。
これから第2章です。オーケストラの本当の訓練、成長の時期となると思います。

その時期に大きなコンサートを我々は抱えます。
2007年は特別公演として東京新聞主催のフォーラムにて交響詩クッレルヴォに取り組みます。
詳細は後日発表となりますが、ここにお知らせします。
このクッレルヴォを一つの大きな栄養剤として、第4回第5回の定期演奏会もアイノラ響らしい演奏会にしたいと思います。
とことん作品を一緒に味わって、その美味しさをお客様にホールでお届けする。
そういう活動をゆっくりと行っていけたらと思います。

多くのお世話になった皆様本当にありがとうございました。
ここまで成長させてくださったトレーナーの先生方にも改めて深く感謝いたします。
裏方として支えてくださったスタッフの皆様もご苦労様でした。
ありがとうございました。

そして大きな成長を遂げたアイノラ響のメンバーのみなさん。本当におめでとう。そしてありがとう。
そしてまた来年よろしく。


最後にちょっとだけ宣伝・・・4月19日にリリース決定しました。

<SYMBIOSIS>

 ヨウコ・ハルヤンネ(トランペット)

 新田ユリ     (指揮)

 クオピオ交響楽団

長生淳 フェアタイル・ティアーズ

 V・ホルンボー 室内協奏曲第11番-トランペットと室内管弦楽のための-作品44

 K・リスエア トランペットと弦楽のためのコンチェルティーノ作品29

 長生淳 シンビオシス

〖CD&DVDオーディオ 〗OVCC-00025 3000円(税込み)2枚組

(録音2005年12月27日ー31日 クオピオ・ミュージックセンターにて収録)

 株式会社オクタヴィア・レコード

上記がようやくリリースです。初めて耳にするものばかりかと思うのですが、ヨウコの魅力的な演奏とクオピオ響の情感あふれる音をお楽しみいただけるかと思います。長生淳さんの作品にフィンランドの演奏家が深く共感して録音に臨んでいます。

明日フィンランドに向かいます。トゥルクでの滞在です。日本の作品を持っていきます。感性のぶつかりを楽しみたいと思います。そして静かな美しい空間でたくさんのことを見つけてこようと思います。

フィンランドはまだ真っ白な季節です。つい先ほど夏の音楽祭の事務局からメッセージが入りました。真っ白だけど春、そしてスキーを楽しんでいるそうです。さて冬支度をして出発です!お元気で!!

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コメント

コメント一覧 (3件)

  • ユリさんが日本の作曲家の作品をフィンランドに紹介してくださることは本当の素晴らしいことですね。かって(1939年6月)小船幸次郎がフィンランド放送交響楽団(夏休みにはいっていたにもかかわらず60人のメンバーが集まった)を指揮し、日本音楽(伊福部昭、平尾喜四男、清瀬保二、箕作秋吉、小船幸次郎の作品)のみ50分間ラジオ放送したとき、シベリウスが聴いて英語で電話をかけてきて賞賛しました。その後放送局とオケと公使館の茶話会で今後定期的に日本の作品を放送しましょうということ、公使館もフィンランドの曲を公使館の手で税金なしで日本に送りましょうと話が決まったそうです。このはなしは小船幸次郎が清瀬保二に送った手紙に書かれて当時の音楽雑誌に載りました。しかし、小船が帰国した翌月にドイツがポーランドに侵攻し、このはなしの結末はたぶん夢となったのでしょう。ユリさんがこの夢の続きを実現してくれていることに感謝しています。小船の手紙には演奏した団員すべてが無口で勤勉で統制が取れていたと絶賛しこれはフィンランド人の国民性であろうといっています。ユリさんのエッセイなどにもそれとよく似た個所があったように思いますが、一度行って見たい国であることは間違いありません。

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