フィンランド週間 in 東京 その4

7月7日は読売日本交響楽団のリハーサルにお邪魔した。滞在ホテルから車で同行させていただき、よみうりランドに向かう。暑さにも負けず元気なヴァンスカ氏だった。

 今日のリハーサルはニールセンの交響曲第4番とラウタヴァーラのCantus Arcticus。ラウタヴァーラから開始。鳥の声のテープ操作を必要とするこの作品は、フィンランドでも何度か聴いた。日本でも以前井上道義氏がとりあげている。ラハティのシベリウスホールでこれを演奏すると、本当に静けさの中で美しい響きを体験できる。様々な種類の鳥の声が指定されているのでその操作も割りと面倒なのだ。音量調整もデリケートなもの。演奏者の楽譜もラウタヴァーラ独特の書法であり、段取りの説明が必要。聞こえてくる音楽はシンプルだが書き方が複雑、というのはこのラウタヴァーラはじめとしてその弟子のカレヴィ・アホなどフィンランドの作曲家の中にも多い。

 ニールセンは先日の1番と6番に続き3曲目の交響曲となる。4番はおそらく彼の交響曲の中ではもっとも演奏回数は多いだろう。2組のティンパニーを必要とするので大掛かりだが、基本の編成は特別大きなものではない。スカンジナヴィア民族の猛りと孤高の精神が聞こえてくる作品だと思う。私も次にニールセンを手がけるときは、この曲を選びたいと思っている。非常に好きだ。ヴァンスカ氏の特徴である精密さを求めたリハーサルで、部分的な繰り返しの練習が多かった。それにしてもラハティ響でのリハーサルと、まったく同様に進めていく。2年前の客演のときよりも、よりパワフルにリハーサルを進めていると感じた。もっともシベリウスとニールセンでは作品のエネルギーがまったく違うのだが。

 15時頃に終了。また車に同乗させていただきホテルのインタビュールームへ向かった。この日は日本シベリウス協会のインタビュー依頼が入っていた。協会員でもある私も含めてのインタビューだった。読響事務局のサポートで会場がセッティングされ進行する。ニールセンへの想いやラハティでの私の研修の内容など、1時間はあっという間に過ぎた。週末の演奏会に伺う約束をして失礼した。

 同じホテルに滞在するハルヤンネ氏たちと丁度タイミング良くロビーで会えた。そのまま駅に向かう。長い駅までの地下通路はピアニストのハェンニネン氏にとって面白い体験だったようで、コーナーごとにある案内図をカメラに収めていた。彼らはそのまま街へ繰り出し別れた。

 翌日8日は国立音大でのリハーサル。都内とはまったく違う景色に車窓から出会うたびに、驚いていらした。大学のリハーサル室でピアニストとあわせる。トランペット専攻の学生と山本英助先生もリハーサルを見学。夕方から吹奏楽の臨時練習が入っていたのでそれを聴いていただく。ピアノ版とは異なる響きと構成の今回の作品。両者ともに魅力だ。終了後はオーケストラの助教授、中館輝厚先生も交えて立川で食事をとった。珍しい食材と料理と盛り付けをすべて写真に収めるピアニストのハェンニネン氏の楽しそうな顔が忘れられない。ハルヤンネ氏は山葵と一生懸命格闘していらした。リサイタル前のリラックスした夜を過ごしていただけたか・・。

2004年9月28日

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