フィンランド週間 in 東京 その3

7月5日の夜はサントリーホールでオスモ・ヴァンスカ指揮読売日本交響楽団の演奏会を聴いた。当日のステージリハーサルからお邪魔した。ヴァンスカ氏とは数ヶ月ぶりにお目にかかった。メールではやりとりがあるのだが、ご存知のとおり今ヴァンスカ氏はミネソタ管の音楽監督の任にあるためフィンランドでお目にかかることが少なくなってきた。

 今回の読響への客演ではニールセンを取り上げていらした。BBCスコティッシュS.O.と交響曲の録音が完成したところだ。この日は1番と6番、そして序曲ヘリオスというプログラム。ステージリハーサルは時間が限られるためすべての音は出していない。しかし楽しみな演奏会になりそうだった。リハーサル後お話ができた。以前に増してお元気そう。忙しいほうが調子が良い人かもしれない。ニールセンは日本ではまだあまり手がけられていない。この曲をレパートリーにしている指揮者は限られる。N響がブロムシュテット氏の指揮で演奏しているのは良く知られている。非常に特殊なサウンドを持っている作曲家だ。弦楽器に課された難しさは半端なものではない。しかしヴァンスカ氏は読響でこれらを演奏できることは非常に喜んでいらした。

 19時開演。オールニールセンプログラムのためかやや空席が目立つ。しかし会場に駆けつけた人は「ニールセン好きです!」というオーラが漂う人が多かったように思った。序曲ヘリオスはシベリウスにも似た静寂とホルンの扱いが見られるが、音色はかなり違う。緊張感溢れる演奏だったと思う。続く交響曲1番はニールセンの交響曲の中では一番軽量でさわやかなものかもしれない。数年前に私も学生オーケストラと演奏しているが独特のフレーズ感とユーモアが楽しかった。

 この日はフィンランド大使館の方もいらしていた。休憩時に2月にお目にかかった文化広報担当のカルヴィネンさんはじめ事務官の皆様とお話。エキサイティングなヴァンスカ氏のタクトを喜んでいらっしゃった。後半は非常に難しい交響曲第6番。この作品のある種荒唐無稽ぶりは尋常ではない。しかし私は見事に構成され限られた時間に凝縮された世界のカオスを感じるのだ。ニヒルな笑いを持って世界を凝視しているとも言えようか。これを聴くたびにニールセンの百面相の写真を思い出す。彼は複雑で面白い人間だと思う。演奏するほうにとっては難曲のひとつに数えられる作品だと思う。その難しいものをさらに追い込んでヴァンスカ氏独特のテンションを持った演奏となっていた。ニールセンの面白さがどのように伝わっていたのだろうか。私はニールセンも大好きである。そしてたぶんヴァンスカ氏とは捕らえ方が違うと思う。

 終演後楽屋では奥様ともお話できた。7日のリハーサルにうかがう約束をして別れた。非常に暑い日だった。

 翌6日は朝ハルヤンネ氏とハェンニネン氏と待ち合わせてお二人のリハーサル会場へご案内。ホテルそばのリハーサルルームを確保しておいた。この日は長生作品のリハーサルはないので私は早々に失礼して諸々の用事をすませた。今回の企画で金管楽器の楽器店の皆様には大変にお世話になった。このような専門店は初めて訪れたが、きらびやかな楽器が並ぶのはなかなか壮観。そういえば自分は大学時代ずっとトロンボーン専攻学生の伴奏者であったことを思い出した。公開レッスンや学外のオーディション、演奏会などいろいろと経験させてもらった。その相棒は現在関東の某プロオーケストラでバストロンボーンを吹いている。オーディションまで担当した。もうはるか昔の話になってきた。時の過ぎ行くのは早い・・・・・脱線。

2004年8月17日
 

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