ラハティ交響楽団2003年来日公演 その3

10月7日(火)福岡空港はなんとなく暑かった。宿泊先に向かい、リハーサル開始の5時まで市内を散策。数年前国立音大のブラスオルケスターで演奏旅行に来て以来の福岡だ。会場はそのときと同じ福岡シンフォニーホール・アクロス。メンバーも思い思いに市内を歩いていた。

 今回この会場ではチケットがすべてペア券で売られていた。このことは様々な意見が飛び交っていた。シベリウスが好きな人はペアで購入することは少ないのではないか、買いにくく思う・・など等。私もそう思った。コンサートは色々な人をホールに呼ぶ。演目によって集まってくる人も変る。北欧音楽を好きな人は、割と孤独を好む人が多いのではないか。静かに楽しみ、静かに味わう。自分だけの空間を楽しむという人が多いと思う。ペアで楽しもう!というタイプは多くはないと思うのだが・・・。

 アクロスでのリハーサルは音響の確認程度だった。残響の多さに皆驚いていた。そして姿も美しいホールである。フルートの恵理子・コルホネンさんは今回ご主人のヤンネさんがオーボエのエキストラとして参加しているため、一人息子の一(はじめ)君を連れていらしていた。ヤンネさんはフィンランド国立オペラ劇場のオーボエ奏者である。一君にはヘルシンキで何度か会っているが、久しぶりのご対面。随分背が伸びて益々ハンサムになっていた。今4歳とのこと。リハーサル中は手の空いている人が交代で見ている。リハーサルから本番までの間、バックステージでこの一君は人気者。完璧なバイリンガルである。恵理子さんや私の顔を見ると日本語に。そしてお父さんのヤンネさんやメンバーの顔を見るとフィンランド語にすぐ切り替わる。その見事な事。そしてうらやましいと思った。すでに頭の中にそういう回路ができているわけだ。大人になって訓練で覚えていくのとは訳が違う。

 演奏会は聴衆が6割弱ほどの入りだったか・・。私は途中席を移り二階席のステージ横で聴いていた。この位置はいつもラハティ響のシベリウスホールでの演奏会での定位置である。残響になれないためか、木管セクションと弦楽器に時折時差が生じていた。少し旅の疲れも見える。すでに来日してから10日目である。無理もない。日常の彼等の演奏会は週1度がほとんど。最近は週に2度の公演、又は2回公演というものも増えてきている。又演奏旅行も随分増えてきている。しかしこれだけの長期間のものは珍しい。福岡ではオールシベリウスプログラム。徐々に聴衆ものってきて、アンコールの時には非常に満足していた様子が見えた。福岡ではアンコールにフィンランドの賛美歌「Virsi」を入れていた。現地ではこの賛美歌のオーケストラ伴奏のオファーが多いそうで、既にCD2枚分録音されている。収録曲の中にはアレンジャーとしてヴァンスカ氏もコンサートマスターのクーシスト氏も、作曲家としても知られているファゴット奏者のハッリィ・アハマス氏も名を連ねている。この日の公演には広島から車を飛ばして駆けつけた人もいらした。

 終演後福岡の街に繰り出したが、多くのメンバーの姿を繁華街で見かけた。若いメンバーはハードロックカフェなるものに出かけていた。だいぶリラックスしている様子だった。
翌日は最終地札幌へ飛ぶ。

2003年10月30日
 

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