英国訪問日記風に その1

3月4日早朝5時にラハティをバスで発った。ヘルシンキヴァンター空港に6時半に到着。チェックインを済ませ7時20分頃搭乗開始。初めてのブリティッシュエアウェイ。機長の挨拶で「当機出発遅れます・・・」というアナウンスがあってから睡魔に襲われそのままうとうと・・・気がつくと・・・・まだヘルシンキだった。それでも45分ほどの遅れで出発した。

 綺麗な英語の響きで雰囲気も一気に英国となる機内で朝食を取ると再び夢の中へ。遅れを回復してほぼ定刻どおり、現地時間9時15分に到着した。時差は2時間。遅れると乗り継ぎの長距離バス「Coach」の予約キャンセルとなるため少々不安だった。ヒースロー空港は厳戒態勢という友人からのメールでどきどきしていたが、何事もなく通過・・・と思ったら入国審査でつかまった。

 英国の入国審査は厳しいことで有名だが、10年程前知人の話で本当に強制送還された人がいることを聞いた。その人は長期休暇を取って語学を磨くため滞在しようとしていたようだ。学校など正式な手続きをふんだわけではないので、観光でよかったのである。しかしうっかり「勉強・・・」の言葉をつぶやいたため面倒なことになり入国はならず!

 そのことが頭にいつもあったので「sightseeing」ということばかり考えていて失敗したのが8年前の演奏旅行の帰りに立ち寄った時のこと。相愛大学のジュニアオケがロシア-ポーランド-ドイツ-イタリアを周っての演奏旅行を行った。2週間ほどの旅だったが、その後足をのばしてロンドンへ。入国審査官がにこやかにどうしても聞き取れないことばを言いつづけている。こちらの「sightseeing」は通じた後だったので、どうしてもわからず不安になった。「通って良いよ」とのことで通過しようとしたらもう一度その怪しげな言葉を叫んでくれた「Kankou!」観光でしょ?ということだったのだ・・・

 さて今回は・・2000年以降急激にパスポートにスタンプが増えているが 研修の際のヴィザが貼ってあるためかじっくり見られることが多くなった。ヒースローの今回の係員もじっくり確認して、おもむろに
「どこから?-フィンランドです」
「ヘルシンキね-はい」
「何日いるの-5日間です」
「どこに行くの-カーディフです」
「どうやって?-コーチを使います(だから急ぐので!!)」
「何しに?-(おお、きたきた)観光です」
「日本には何時帰るの?-4月初めです」
「それまでフィンランドに滞在するの?-はい、休暇をとって。」
「職業は?-音楽家」
「何の楽器?-指揮者です」
「へえ、女性指揮者なんて日本は少ないでしょ。何人いるの?―(あらあ、ここでインタビューなんて)数人です」
「初めて女性の指揮者に会ったよ。-イギリスには素晴らしい女性指揮者いますよ!」
「カーディフのホテルは?-ホテル・・・です」
「カーディフで何するの?-観光とコンサートを聴きます」
「なんの?-BBCのオーケストラです」
「どんな曲?-(えええ)クラシックですよ。」
「曲目は?-ラフマニノフやブラームスや・・・(バスが行っちゃう!!)」
「あなたもコンサートなどここでやるの?-英国ではやったことありませんよ。フィンランドで少し・・あとは日本です(なんでここまで聞くのだ)」
「フィンランドに戻るチケットはあるの?-あります、はい、これです」
「・・・・OK!楽しんで!―ありがとう!!さよならあああああ」
急ぎ足で長距離バスセンターへ向かうのだった。

2003年3月4日

 

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