ながら族 「放射線-東京新聞」・「紙つぶて-中日新聞」

道路交通法が改正になり、自動車や原動機付自転車の運転中に携帯電話等を手で持ち通話したり、メールの送受信等を行なったりした場合に反則金、これを払わないと五万円以下の罰金、という罰則規定が今月から施行されている。

  この規定に「自転車を運転中の場合も」とぜひとも付け加えてほしい。この意見の賛同者は多い。本当に危険な場面を数多く見かける。

 

 ながら族といえば古くはラジオを聴きながら勉強という姿だったが、最近は特に小学生から高校生までのながら自転車運転にはらはらする。列を為(な)して歩道も車道も埋めつくす子供たち、隣の友人と会話をしながら実に見事に携帯を操っている。対向車やまわりに歩行者がいない場合は、「見事なお手並み!」と拍手も送りたくなるほどの景色だが、現実はそうはいかない。車の往来するところでも人数が多いと「皆で走れば」という気持ちなのか車を怖がらない。逆行も平気。ましてや歩行者など眼中にない。

 杖(つえ)をついた方や、ゆっくりと歩行をする高齢者の脇をすり抜けながら「あぶねえよ」とはき捨てる子供たち。注意など当然無視。時にはゲーム機器を片手に蛇行運転で歩道を荒らす「ながら運転自転車族」。進路を譲ってもらえるのは当然だと思っている節がある。これらの姿は今の日本の大人を映し出してもいる。

 過保護に危険を取り除く大人の手は子供のためにならない。それでもメールを打ちながら電信柱に突進する姿を見ると、「危ないよ」と声をかけざるを得ない。突進してくるのは歩行者に対しても同様。自分の冒す危険が自分にもふりかかる可能性を想像力をもって子供たちと共に考えよう。

 それにしても、そこまでして「ながら運転」をしなければ生きていけないほど忙しいのであろうか、今の子供たちは。(指揮者)

 

「放射線-東京新聞」・「紙つぶて-中日新聞」
2004年11月10日夕刊 掲載

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