11日はフィンランドセンター、上野学園大学の共催で「シベリウスアカデミー学長 グスタフ・デュープシャバッカ氏講演」が開催されました。日本シベリウス協会は、企画協力という形でかかわっています。
18時半から上野学園大学のオーケストラスタジオを会場としての講演。100名近くの方が参加してくださいました。教育関係者、学生、メディアの方も含め、多くの方が深い関心をもって集まってくださいました。
前半は学長の講演で、シベリウスアカデミーの教育内容、システムの説明。そして後半はパネルディスカッションをシベリウス協会のメンバーと上野学園大学から教育学がご専門の瀧川先生をお迎えして行われました。協会のメンバーはそれぞれ、シベリウスアカデミー留学者、フィンランドの教育を取材しているかた、そして上野学園大学の教授といういずれもこの講演内容に深く関わる立場である皆さんでした。
学長からは非常に多くの教育における素晴らしい姿勢と信念、そして未来への模索の言葉、目標などがきかれました。
中でも「音楽と生徒の間に教師が分け入って割り込んではいけない」という言葉。自主独立のフィンランドの精神が深く感じられます。
そして、「教師も学び続けなくてはならない」「学校や組織は傲慢になってはいけない」「他国を理想化してはいけない」という、非常にある種日本の教育界にとっては耳が痛いようなお言葉、そして心にしみるお話がたくさんきけました。
何よりも基礎力を重視しているフィンランドの教育界。唯一の音楽大学であるシベリウスアカデミーというところは、その基礎力の上により高いレベルを目指すべく、今なお模索している大学です。
基礎がなくては、大学で本当に学び育つことはできない。基礎があってはじめて、豊かな表現、独自の道を見つけて行く事ができる。その道は自分で考え自分で探さなくてはならない。大学はその力を持っているものが来るところである。
すべての言葉に深くうなずくばかりでした。
国家の体制、文化、歴史が異なる国です。そのまま導入はできないでしょう。しかし、より良いものを目指す時、お手本として学びたい事がたくさんある国です。
自分のやりかたを押しつける教育は何も生み出しません。自分で歩く力をつけさせること、やり方を自分で見つけて行けるヒントを出せること。そんなことが教師に求められています。教師も一緒に日々学んでいかないとできないことです。たくさんの引き出しを求められます。
素晴らしい講演と企画、ありがとうございました。担当の皆さん、本当にお疲れ様でした。素晴らしい!
さて、日本シベリウス協会はいよいよ企画の最後の山場を迎えます ヒュンニネン氏はフィンランドが生んだ世界的なバリトン歌手です。その声は今なお非常に輝かしく深くドラマティクです。私も何度も拝聴しています。安定した歌唱、そして豊かな響きと音楽の心。ぜひ多くの方に知って頂きたい方です。まだ日本ではあいにく知名度は高くはありません。しかし、きっと素敵な時間を届けてくださる方です。
今回はシベリウス以外に、トイヴォ・クーラ、そしてオスカリ・メリカントというフィンランドの作曲家のものが並びます。自国の作品の紹介にも精力的に活動なさっています。
12月に我々が手がける「クッレルヴォ」も何度歌っていらしゃるかわからないくらい・・・当代随一のクッレルヴォうたいの方です。
今回の招聘では、リサイタルのほかに、マスタークラスの開催もあります。すでに受講者は決定していますが、マスタークラスの聴講はまだ受けつけています。ご希望の方は、ぜひ日本シベリウス協会の企画サイトまでアクセスしてください。お待ちしています。こちらです。http://www.sib-jp.org/50th/
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