日立フィルハーモニー管弦楽団第23回定期演奏会終了


 昨日無事に終了いたしました。1300名余りのお客様のご来場。本当にありがとうございました。


 はじめてのホールでした。レジデンスオーケストラの方から様子は少し伺っていましたが、実際にその場に立ってみなければわからないことが山ほど。

客席には非常に様々なことがクリアーに運ばれているというコメントや感想をいただきました。ステージリハーサルでもトレーナーを務めてくれたお弟子様が丁寧にチェックをしてくれました。なれたホールでは、指揮台のところにいても、自分の耳は客席において・・という感覚がつかめるのですが、はじめてのホールではそれは客観的な意見を大いに参照します。もちろんリハーサルの中で、自分で音を聞いてみることもします。

すり鉢状のホールの場合、本当にお客様に囲まれている!という感覚になります。演奏中はオーケストラの顔と音に集中していますが、時折響きの行方を視線でも追ってゆくと、お客様の視線とぶつかる・・・・ということも起こります。

 日立フィルの皆さんとは6回目の共演となりました。第8回定期の1999年、シベリウスの5番が初共演。以来どういうわけか、シベリウスシリーズとブラームスシリーズという流れで共演が続きます。ブラームスは残すところ1曲、シベリウスはこれまでに5,3,2と演奏しました。

メンバーの皆さんの高い意識と作品への理解力、そして最後のクールな踏ん張りという独特な雰囲気の盛り上がりの中、今回の演奏会もステージで作品の言葉が響くところとなりました。

シベリウスとシューベルト・・・・直接のつながりはありませんが、シベリウス自身海外での勉強の場は、ウィーンとベルリンです。シューベルトの持つ調性の変化と色彩感というのは、別の形でシベリウスの作品の核となっています。一緒に並べて喧嘩はしない作品だったと思います。

しかし実際タクトを持つ身としては、同じ交響曲であってもやはり建築語法や素材が大いに異なり、フレーズと時間感覚が全く異なり・・・・ということで、はっきりとしたスイッチの切り替えを要します。

今回も第2番はシベリウスの「全集版」スコアで演奏。私自身この作品を3回続けてこの新しいスコアで取り組んでいますが、以前の版と実際は異なる部分は些細なことであったとしても、それが非常に大きな問題を含むことだったり、全体を見直すきっかけだったり・・・・そのようなことなのです。

バランスの悪い部分、構成が難しい部分・・・でもそれがそのままシベリウスの求めていた音の言葉になります。バランスの悪さは実はその響きの中から、とんでもなく新しいことが聞こえてくることだったり、構成の不思議さは、「刻まないフレーズ」であったり・・・とにかくシベリウスの交響曲は指揮者としては全く疲労を覚えません。非常に自然な呼吸の中で演奏していくことができます。オーケストラの演奏者は状況が異なるでしょう・・・・・・ロングトーン・ロングトーン・ロングトーン、刻み、刻み、刻み、数えにくいフレーズ・・・・・・さまざまな声がきこえてきます。でもそこに宇宙につながる大きな世界をみた瞬間、包まれているような大きな音楽に敬服を覚えます。私も人生で一度はヴァイオリンを再び持ってオーケストラでシベリウスの交響曲を演奏したいな・・・と思っています。

シューベルトもベーレンライター版で演奏しました。この作曲家も楽譜にシベリウスと同様の謎が多い人です。二人ともアクセントとディミニュエンドの記譜の問題があります。判断の仕方と解決のための糸口は二人は異なりますが・・・

シューベルトの交響曲第7番「未完成」は、あまりに有名で、有名という言葉を使う事さえはばかられるくらい 「常識」「定番」のような代名詞となっていて・・・・そのような作品は演奏が難しいです。奏者も様々なイメージを強く持っています。お客様の耳も厳しいことでしょう。

ただ今回思ったのは、楽譜に忠実にちゃんと音符のドラマから読み起こしてみるという姿勢をとってみて、過去の演奏の数々のスタイルの意味が深くわかったということ。そして音楽はやはりちゃんと楽譜に書かれているよ、という一つの自信を得たというところです。それはこの日立フィルという皆さんと共演して、今回得られた実感ですね。

普段と違う表情やスタイルを感じて「なんだか変だな」というご感想もあったことと思います。でもあれば昨日の一つの答えです。至らぬ点は私自身の不足ですね。

お客様の暖かな声援と熱い拍手をいただき、メンバーともども楽しくレセプションも行えました。ご来賓のドイツの方から「北ヨーロッパの風景をよく御存じですね」という嬉しいお言葉も頂戴しました。オーケストラに深く感謝です。

さあ、これで出発を迎えます。音楽祭の準備もやっておくべきこともまだまだ山ほどあります。本日と明日はいつもの10倍のスピードで動かねば間に合いそうにない・・・・・

宿題をたくさん抱えてのフィンランド滞在になります。超過料金も心配なところ。まずは元気に乗り切りたいと思います。

次のブログ更新はいつになるか不明でありますが、素敵なフィンランドの風景も随時掲載したいと思います。

どうぞ皆様も素敵な夏をお過ごしください!

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