大阪市音楽団「市音タイムズ」143号 (2004年11月1日)

プロの音楽家って、普段どんなCD(レコード、テープ)を聴いているのでしようか?

今回は特別編としまして指揮者の新田ユリきんにお願いしました。

質問1

もし、あなたが離れ島で一人暮しをしなければならなくなったと仮定して、3枚だけCDを持って行けるとしたら?

質問2 最近、あなたが買ったオススメCDは?

 

 

 質問1)無人島に何を持っていくか・・・

一度は無人島に行ってみたいと思っている私なのでこれは楽しい空想になりました。しかし機材をどうしようか、バッテリーは、電池はたくさん持っていくのは大変だな・・などと余計なことを考え始めてとまらなくなったので適当なところで空想はやめました。本題です。

1枚目・・自分の音楽の原点となった曲を持って行き、懐かしむ

 グリゴリー・ソコロフのピアノでチャイコフスキー作曲ピアノ協奏曲第1番。あいにくレコードの存在しか知りません。ロシアからの(当時はソ連でした)お土産で頂いたものだったので、レーベルなど詳細を覚えておりません。これが弾きたくてひたすらピアノを練習していた時代を思い出します。

2枚目・・音楽人生の核となるであろう作品を日々かみ締める

 ベートーヴェン交響曲全集。指揮はロジャー・ノリントン シュトゥットガルト放送交響楽団演奏。ベートーヴェンほど、どんな精神状態のときでも受け入れられる作品はありません。あらゆる角度から作品を眺めることができ、そしてこの演奏は刺激がたくさん詰まっています。おそらく飽きることはないでしょう。

3枚目・・永遠のテーマを抱きつつ人生を終えるために

 シベリウス作曲 交響曲第6番・7番・交響詩タピオラ 指揮はオスモ・ヴァンスカ、ラハティ交響楽団の演奏。BISから出ています。自分にとって自然と共存して生きるということはひとつの大事なテーマです。幼い頃から小鳥(セキセイインコ)とともに育ってきた私は、今でも鳥たちと会話ができると信じています。道端の猫や犬ともいつも挨拶を交わし、カラスには都会の問題点を聞き・・・というような人間になれたらよいなと思っています。(笑)20世紀の前半という時代に見事に自然と人間というテーマを描ききった作曲家への敬意を込めて、これを人生最後までもち続けることでしょう。

質問2) おすすめCD

ということで、おすすめは次の2枚です。

 まずは、ストラヴィンスキー作曲 春の祭典 USSR交響楽団 エフゲニー・スヴェトラーノフ指揮、1966年の録音です。実は今年は初めて春の祭典を指揮する機会がありましてこれを入手しました。正直のところ、CDの購入枚数は指揮者の中で最下位であろうと自負しております。なるべくコンサートで音を体験したいと思っているのですが、どうしてもかなわないもの、歴史的な演奏で興味のあるものは購入します。おかげで我が家のCD棚はオーソドックスなレパートリーのものはごく少数であります。

 その中でこのCDは、自分の「春の祭典」解釈にもっとも近いものを感じることができて、久々に感激したCDです。「これだ!」という感じです。作品のテーマが持つどす黒いエネルギーが十分に聴き取れると思います。

 二枚目は再びシベリウスなのですが、渡邉暁雄指揮 東京都交響楽団1970年代の録音復刻版です。つい最近知人から紹介されました。渡邉暁雄さんの非常に上品な指揮ぶりは憧れでありますが、品の良い音でシベリウスが語られているのが素敵です。

 Tokyo FM Archives Selectionです。

 CD世代に代わったのは自分が大学生の頃でした。ノスタルジーを持って思い出すのはどうしてもレコード針を落として聞こえる音です。小学生の頃はショスタコヴィッチの交響曲第5番の虜に。中学生でドヴォルジャークの交響曲第9番、高校時代はひたすらマーラーでした。そして大学生から指揮の勉強を通して飛躍的に出会う作曲家が増えましたが、一番の強い印象的な出会いはシベリウスだったのです。交響曲第1番をヘルシンキフィルのレコードで聞いていました。それらは今も実家に眠っています。この先音源の姿はどのように変わっていくのでしょうね。でもやはりコンサート会場でたくさん音を聞きたいと思っています!

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