大阪市音楽団「市音タイムズ」143号 (2004年11月1日)

日本だけでなく海外でもご活躍の指揮者「新田ユリ」さんに、おたすねしました。
インタビュアー:友の会 井上和子

井上:

小さい頃から音楽に親しんでこられたと思いますが、いつ頃から指揮者になりたいと思われましたか、また指揮者にどんな魅力を感じられましたか?

新田: 指揮は中学生頃から、自己流でしていました。中学生では、吹奏楽部、高校生の時はオーケストラ部に所属していたの です。練習を時々指揮する事がありました。指揮の勉強を始めたのは18才。大学に入ってからです。初めは教育音楽科に在籍、 教師を目持していました。将来オーケストラを育てたいと思って指揮を大学の外で学び始めました。実際にプロとしての道を考 え始めたのは、それから6、7年後。比較的遅いですね。魅力のポイントは、何と言っても、多くの音楽家の皆さんと一緒にひと つの作品を作り上げていくことにあります。その結果であるコンサートでお客様に喜んで頂ければ最高です。
井上: 同じ曲でも指揮者の方のその曲に対する思い入れによって、テンポなどオーケストラの唄い方が変わる様に思いますが、指揮者として大切にされている事があれば教えてください。
新田:

自分にとって大切なのは、作曲家が何を考えていたか、感じていたかを、解き明かし、その塊に近づいていく事です。
実際の演奏においては、色を大切にしています。つまり音色です。ただ、リズムに合わせ音を揃えるだけでは、コンピュータ音楽になります。作品の国籍や時代によっても様々な作品の色があります。それを描く事が大切です。
 

井上: 「ウインド・オーケストラ」では、「クラシック曲」だけでなく「ポップス」や「マーチ」等、演奏するには非常に幅広く、また難しい楽団だと思いますが、今回「大坂市音楽団」との共演についてどの様にお感じになりましたか?
新田: 大阪市音楽団とは、今年3月に初顔合わせがありました。その時もクラシカルなものからポップスまで手掛けました。とても良い出会いだったと感じています。自分も吹奏楽経験者ですので、ウインドオーケストラの楽しさは体で覚えています。
又、音大でも現在吹奏楽の授業を待っています。パワフルでカラフルなサウンドを待つ市音は魅力的です。暖かな音を持っています。そして根っこがしっかりとあるアンサンブルだと思います。これは大切なことです。
井上: 今回「すてきなウインド・コンサート」では誰もが一度は耳にした事がある曲目が演奏されますが、一番の「聴きどころ」を教えてください。
新田: オーケストラのアレンジ作品をウインドオーケストラで取り上げる時には、難しい側面も多いのです。どうしても原曲の音色を比べてしまう、アレンジの内容によっては、原曲のテンポに近づくのが、難しくなるなど。移調の問題もあります。しかし、素晴らしい作品というものは、どんなアプローチをしても音楽が聞こえてくるものです。今日の作品も、作曲家の強い想いとメッセージが書き込まれています.今の時代にもあふれている愛・哀しみ・怒り・争いなど.人々の心の激しいドラマがたくさん書かれます。それが、作者のお国柄と合わせて、様々に描かれているものを楽しんで頂けると嬉しいです。
井上: ステージに上がる前に、必ず気をつけられる事はありますか。
新田: 転ばない事(笑)ですね。10年ほど前、とある東京のプロオケのステージで、登場と同時にみごとに滑って転びましたので。見事な青あざが残りました(笑)。それ以後、床の具合のチェックとはじめの一歩には気をつけています。あとは、作曲家へひそかにメッセージを送る事。心で祈りを捧げています。
井上: 将来、指揮者を目指している若い人たちに何かアドバイスがありましたらお聞かせ下さい。
新田: 指揮者は目立つ華やかな職業ですが、実際の仕事は地顔でコツコツと積み上げるものです。そのことへの根性があれば大丈夫!!あとは音楽を愛し、作品を大切にし、演奏者を信じて、骨身を惜しまず、全力を尽くす事。自分で音を出さないという事の意味を自覚している事が大切だと思っています。
井上: 音楽以外に、何か趣味はお持ちですか?
新田: 現在はいませんが、幼い頃からすっと小鳥を飼っていました。代々セキセイインコを手乗りにして、多いは12羽ほど。今は飼えませんが、小動物は好きです。野球は見るのもプレーも好きです。
演奏会前のお忙しい中、快く質問にお答えいただき、ありがとうございました。これからも、ご活躍下さい。そして私たちに音楽の喜び、感動を与えて下さい。演奏会、とても楽しみにしています。
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