Why なぜ Miksi?????

10時半から17時までショスタコーヴィチの一日であった。
ずっとTutti練習をしても効率が上がらないので、セクション細分化練習と合奏をとりまぜている。

全体の統一感と音のポリシーを明確にしていくためにも、より細部の徹底が必要な作品。
有名な「ユニーク」なメロディもよくみてみれば、ユニークなんてものではなく・・・・
手を変え品を変え、姿をかえ・・・意味を持って七変化。
公演二か月前の現在、行っていることは楽譜の徹底確認。
ショスタコーヴィチの交響曲第7番を演奏なさった人はご存知と思うが、
この曲のパート譜はかなり問題点が多い。
まだ全集シリーズでこの交響曲は出版されていないので(まもなくという情報はある)
確認の基は、「自筆譜」

結論から申し上げると、
10月のエレティールで演奏するこの曲は、おそらくいろいろと「え~!」と思われる節が出てくる。
聴きなれたものと少し姿が異なる部分がある。
先にそれを言い訳しておきます<(_ _)>

オーケストラのメンバーの皆様は数々の煩雑な作業や、新しい試みに前向きに熱心に取り組んでくださっている。(はずである・・・・・
それが音楽となって一つの形として響くように・・・・・・・こちらの任は重い。

それにしても楽譜の不明瞭さ(筆跡というような問題ではなく)は、音楽家にとって本当に大きな問題なのだ。
考える楽しみもある、推理小説のような推理の面白さもあり、作曲家とじかに会話をしているような体験にもなる。しかししかし・・・・・どうしても???なぜ??と聞きたい事は山ほどある。
結局、天国にいかないとわからないことなのか。まだもう少し謎のままで楽しむ時間としようか・・・。

9年前にフィンランドで研修したころ、さかんに「耳せん」の話を書いていた。
オーケストラのメンバーが盛んに耳せんを使用している姿にはじめは驚いていたから。

正直のところ、今回の曲にはリハーサルにそれが必要である。
会場に応じてリハーサルも工夫が必要だが、音をしっかり出す練習も必要。
絶対的な音量がどうしても大きい場合、周りにいる他のセクションは自主的に自分の耳を保護しても私はかまわないと思う。「耳せん」と言ってもすべて音を遮断するものではない。
音楽家は耳が命だ。「耳せん」は、相手の音をきかないためではなく、相手の音とアンサンブルをするために自分を守るためのもの。限界を超えた音量は聴力を奪う。それはだれにとっても不幸な事になる。
お互い様なのだから、お互い様に自分を守った方が良い。

と、
私は考える。
もちろん指揮者は使わない。

しばらく、もどかしく我慢のリハーサルが続く。それでも確実に作品の言葉が少しずつ浮き彫りになってきた。
熱心で根性があって真面目で温かく面白く、そして理数系の人間が圧倒的に多いこのオーケストラ、
言ってみれば研究熱心というのはもともとの気質なのだ。私は理数系とは縁遠いタイプ。
その私が発する意味不明なたとえや、へんな日本語を駆使した変な理屈に、一生懸命耳を傾けて
なんとか実現しようと闘って下さっているオーケストラには<(_ _)>、ただただ頭が下がる。

つい先日、BSで亀山郁夫先生の解説による、ソビエト連邦時代の芸術・文学について特集番組があった。
この「レニングラード」も出てきた。
そう、あの時代なのだ。

作曲家ごとに音の文法が違うため、同時期に異なる言語圏の作品を手掛けていると、
バイリンガルどころの話ではなくなる。作曲者の母語という本当の言語の問題も背景にあり、
その上に文化と歴史と人生と人間性という複数のフィルターがあって、そして作品の言語ができてくる。
今週はシベリウスの1番に対しても同様に自筆と新全集の検証を完成させていたので、頭の中は正直
ミックスジュースである。(おいしいか?いや、絶対にまずい!)

日常生活には何も意味をなさないような、四分音符の音の出し方切り方などなどを、延々と考えて
実際の音を作っていくという・・・・・ある意味生産性のないと言われるようなことを行っている自分は、
いったいなんなんだろう・・・・・と、時々袋小路にはまって考えてしまう。
しかしそれが音楽家のこだわることなのだと思う。

今日もリハーサルから自宅に戻る途中、ず~~~~~~~~~~っと、本日問題になった楽譜のことと、
自分の出した指示について考えていた。
変な表情をした良い年をしたこのおばさん指揮者を車内の人は不気味に思ったかもしれない・・・・
今日の6時間を思い起こし反芻し・・・・・・・・

あ、そうか

年女だった

さて、明日からは
ムソルグスキー・ストラヴィンスキー・チャイコフスキー・ハチャトリアン・レスピーギ・ラヴェル・ホルストたちと向き合うのです。じっくりと。4日間。きっと体脂肪は減ることでしょう

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