国立音大ウィンドシンフォニー第35回定期演奏会終演

 1,2年生で構成する授業公演、ウィンドシンフォニーの前期定期演奏会終演です。
平日木曜日の夜にも関わらず、最近では記録的な500名を超えるお客様にお越しいただけました。
大変に嬉しく、感謝申し上げます。

学生たちは毎年カラーが異なります。それは面白く興味深く、そしてある部分難しく、でもやはり楽しんで授業に臨む自分です。判で押したような顔が並んでも、全く意味がない。音楽芸術は最終的に個々人の個性、個々人の考え、姿勢、気質様々なことが演奏に反映されます。

今年のウィンドシンフォニーは、始まった当時から独特の色を持っていました。一言で言うとパワーがある。
演奏に対して能動的、自主的な取り組みが非常に目に見えるチームです。

それを束ねてゆくインスペクターという係、非常に大変な役割ですが今年の二人もとてもしっかりしており、
冷静な眼差しを持って、しかし情熱的に役割を果たしてくれています。

前期の演奏はオリジナルのウィンド編成作品と、編曲ものと取り混ぜています。
前半

スーザのマーチ2曲「海を越えた握手」「イギリス連邦」 スタイル、響きの異なるマーチの性格を浮き彫りにすることも一つの課題でした。マーチ特有の音作り、音型の奏で方、いろいろなことを膨大な数の作品を遺したスーザから学ぶことができます。

そして吹奏楽の古典。ホルストの「第1組曲」 決してやさしい作品ではなく 「音楽」への深い洞察と音作り、そして作品の持つ構成感というものが必要な曲だと感じています。シャコンヌという定まった形の中、ホルストが仕掛けた様々な音楽のシンプルな魅力の表現、それをバランスよく品よく作り上げるということが求められていると思って取り組んでいます。オリジナルの編成について近年研究が進んで、原典版というものも様々あるようですが、今回もその一つを使っています。管弦楽作品の古典音楽に求められるある種の厳しさというものを、十分に感じさせてくれる名曲です。来年は「第2組曲」を予定しています。

前半最後は、本学教授の下地啓二先生のサクソフォンソロとの共演。英国の作曲家ビンジのアルトサクソフォン協奏曲。下地先生効果!が大きかったと思う今回の集客と、学生たちの前向きの姿勢。
先生も授業の合わせの際に、様々な音楽の言葉を聞かせてくださいました。本番の言葉は・・?と思って私自身も楽しんで共演させていただきました。学生たちもよくついてきてくれました。素晴らしい!

後半は一転して大編成の作品。
今回図らずも(図りましたが)英国作品が並んでいました。先週の英国の政治的答えがどちらに転ぶのかでトーク内容が変わるかなと思っておりましたが・・・(>_<)

後半1曲目はエルガーの「威風堂々第1番」 最も有名な・・・と言っても良い英国を代表する作品でしょうね。
編曲は淀彰先生。

2曲目は英国を離れて、J.S.バッハのプレリュードとフーガ BWV552 聖アンのフーガとして知られています。ハンスバーガー先生が以前、ブラスオルケスタ‐と三浦徹先生に献呈された作品です。内容は深く難しい。演奏すること自体に体力も必要。そしてごまかしようのない音楽の核をしっかり演奏しなくては成り立たない作品。学ぶものとして、これ以上のものはないバッハの作品。バッハが音で紡いだ宇宙、

その宇宙を音で表現したのがこの日の最後の曲、スパーク作曲「宇宙の音楽」

このところスパークを取り上げることが続いていますが、やはりスパーク先生の吹奏楽編成を駆使して様々な世界を構築する才には心より敬服です。そこにはほかの作曲家やほかの時代や、ほかの編成の作品など、多くの世界とリンクして、そこからまた新たな世界の魅力をとても自然にそしてお洒落に作られていると感じています。難しい内容も難しく感じさせず、響きが自然でかつ冒険的なものもあり・・シンプルな美しさということを感じます。

宇宙の音楽!壮大なタイトルですが、冒頭のホルンのソロから始まる宇宙の誕生と神秘。学生たち非常に力を発揮しました。ホルンをはじめ、ソプラノサクソフォン、クラリネット、オーボエ、イングリッシュホルン、ファゴット、バスクラリネット、フルートと大きなソロが重なり合いますが、実に見事に若い学生たちは奏でました。このようなソリスティックな力というものを近年入学時から持っている学生がいるなあ・・・と印象に残っています。
今回も実に見事。特に長いソロを持つソプラノサクソフォンはお客様にも印象に残ったと思います。冒頭のホルンも指揮はせずに学生に任せましたが、試行錯誤して最後に宇宙の誕生を美しく爆発的に作り上げていました。

技術を求めるパッセージも多いのですが、作品の本質的なエネルギーや歌心など、学生自身もよく理解していたと思います。

多くのお客様、温かな拍手本当にありがとうございました。ウィンドシンフォニー後期は11月26日(土)。今度は邦人作品が並びます。新曲もあります。お楽しみに!

授業運営をささえてくれる、インスペクターと、代々のインスペクター。このように3,4年生のサポートがあります。非常に心強く、そして良い伝統です。皆さん、本当にご苦労様!そしておめでとう。

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