コンクール

 昨日、第54回ブザンソン国際指揮者コンクールで、日本の斎藤友香理さんがファイナリストに残り、
聴衆賞とオーケストラ賞を獲得したというニュースが入ってきました。

彼女は、以前桐朋学園の音楽教室弦楽アンサンブル公演で、アシスタントとして指導をサポートしてくださっていました。あらためて、おめでとう!!とお伝えします!!!
ご本人には昨日メッセージを送りましたが、すでに長くドイツで勉強を続けているので、海外での経験も25年前の当時の自分と比較してはるかに多いこと、頼もしく感じました。

ブザンソンのコンクールサイトに、過去のファイナリスト一覧があります。

自分は1990年ですが、苗字はともかく・・・名前も間違っていますね・・・苗字は当時中村でしたので。
1990年が第40回だったのですが、最近2年ごとになっているようで、それで第54回なのですね。
 

そして、あらためて見てみると年度ごとに表彰のやり方が異なっています。審査委員会の判断や実行委員会のその年のルールが違うのでしょうか。Finalistという表記とMentionという表記の違いなど、こだわりだしたらきりがないかもしれません。自分の時は優勝が沼尻さん。ファイナリストは日本人二人とスイス人でした。
審査委員長のネルソン先生からいただいた言葉は、大きな励みでありそして大きな課題です。今もって。

最近は、今年斎藤さんが獲得した賞のように、聴衆賞、共演オーケストラからの評価なども加味されるコンクールが増えていますね。

今年はシベリウス関係のコンクールも多いです。作曲コンクール(新設)、声楽コンクール、そして年末の
ヴァイオリンコンクール。

ヴァイオリンコンクールには日本人も複数名エントリーされています。総勢230名を超える参加応募があったそうです。厳しい書類審査だったようです。書類にはもちろん演奏音源や実績なども評価されます。
自分が期待していた若手は残念ながら今回この審査には入ることができませんでしたが、彼女はすでに国内でかなり大きな活躍を続けています。
また、今回はエントリーしなかったけれど、若手でこれからを確信するような演奏家はたくさんいます。

指揮者も演奏家も、いえ特に指揮者はコンクールということよりも現場での実績が何より大切です。
人と関わる仕事、大勢の音楽家を相手に説得力をもち、伝え、一緒に作り上げ、本番では音楽のリーダーとなる位置にいます。生まれ持った音楽的才能はもちろん大切ですが、長い現場修行の時間の中に本当の指揮者の仕事の神髄があると自分は考えます。そして最後にはやはり、その人の音楽の才が出てくる。一人のマエストロが生まれるまでに、とても時間がかかる仕事だと思います。自分の年齢はまだまだ子供世代だと言われます。最近はあまりそれをいう人が少なくなりましたね。なぜでしょう・・・

今回、斎藤さんは優勝という賞は逃していますが、本選の演奏が聴衆と共演オーケストラから評価されたということは、大きな力なのではないでしょうか。桐朋時代に見ていた明るい力強い目の力を思い出します。

女性の指揮者は本当に増えています。近年の国際コンクールは必ずと言ってよいほ ど、ファイアリストに女性が入ります。エントリーも多いです。25年前はほかの人の審査を見ることは全くかなわなかったので、また現在のような情報配信もないので、途中経過がどのようなものだったか不明なのですが、ブザンソンの現地に集まった1次予選を受ける40名あまりの中で、女性は4名ほどだったかと記憶します。今はもっと比率が高くなっています。すでにプロ楽団のシェフ、音楽監督などのポジションを持つ方も世界各国にいます。また肩書はなくとも、オペラの現場、楽団の指揮者陣の一人として堅実に確実に力を発揮している人もたくさんいます。

コンクールは一つの大きなきっかけです。きっかけの一つです。
自分はいただいた賞に対して、おそらくまだまだ何もお返しできていない状態であると最近とみに感じます。
それは自分の不足故でしょう。お返しできる機会を得られるかどうか・・・それさえも一つの大きな課題です。

指揮者への道はいろいろです。特に昨今は様々な道をみます。でも、精力的に仕事を続けている自分より若い世代を見ていると、音楽的な力以外の点で、皆さんコミュニケーション能力が高い・・・その点、学ぶところが多いなと オバサンとしては思っています。

世間的にはミドルエイジ、指揮者人生の中では、まだまだ大人になり切れていない世代かもしれない・・
多くの問題や不足を抱えながら、自分の歩みを続けます。

次の世代はどんどん出てきます。自分自身が自分の力で積み上げマイロードを作ってゆかない限り、
明日はない、とも思います。
それは競争ではなく、各人が自分の時間との闘い、対峙の仕方・・・なのだと思います。
どんな指揮者でありたいか、どんな音楽家として生きたいか、
日々の仕事の中で、大きな命題はいつも頭を巡ります。

この秋は、日本でも東京国際音楽コンクール<指揮>がありますよ。まもなくですね。
今年はどんな才能が現れるでしょうか。
 

 

 

 

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