ワグネル・ソサィエティOBオーケストラ第78回定期演奏会終演

 1000人を超すお客様にご来場いただきました。

ありがとうございました!

2007年の前回の共演から、はやくも8年が経過。
ワグネルOBの皆さんとは、25年前からご縁がありますが、途中17年ほど間が空いていました。
25年前にご一緒したメンバーの方もたくさんいらっしゃいます。
そして、現在は若手が増えてきたワグネルOB.徐々に世代交代でしょうか。
でも、まだまだ先輩世代はお元気でエネルギー全開で音楽活動をされています。

年齢を経て獲得すること、できること、わかることがある・・・ということは、自分もこの年代に入り実感。
それは音でもそうです。達者にすらすらと演奏するということとは別の次元での音の味、音の意味が聞こえてくる
演奏があります。
それはきっと、今のワグネルOBオーケストラの一つの長所だと今回感じました。

とは言っても、この難曲のプログラム。難しさのタイプもいろいろです。それを克服するために必要な時間と、リハーサルの創意工夫・・・・届かない部分が残っていたこと、これは指揮官の責任であり、私自身課題を残した部分でした。

ニルセン「フェロー諸島への幻想旅行」は、実に不思議な曲です。
冒頭、いったい何が始まったのだ・・・の時間が長い。その先にやってくるフェロー諸島の民謡をベースとしたシンプルな旋律、その変形とニルセンらしい遊び。お客様からは、「面白かった」の声が多かったのです。嬉しかった。
そしてホルンの柔らかな旋律が、美しく心に残りました。

さてシベリウスのヴァイオリン協奏曲。
ソリストは、このオーケストラの母校である慶応大学の4年生に在籍する(法学部)学生であり、桐朋学園ソリストディプロマコースでも勉強をする、ダブルスクールを実現している優秀な若手、大江馨さん。

本番のステージでは、大江さんにとって先輩にあたる皆さんに囲まれての演奏となったわけですが、
その支えよう!という心意気と、眼差しとがとても優しく暖かく、かつ誇らしくというものがステージに一杯溢れていました。私自身、いわば自分の子供世代にあたる大江さんですから、何やら「母親のようだった・・」なるコメントもいただく有様。非常に良いコラボになったと思います。オーケストラの皆さんの神経が、協奏曲では一段別のものになっていましたね。

大江さんの美しい音、繊細な語り口と音楽性、そして知的な構成力は、本当にシベリウスの美しさを見事に描いていたと思います。具体的な打ち合わせはあまりしていないのですが、実際のアンサンブルの中で、どう考えて、どうやりたいかが非常によくわかる。そしてオーケストラの音も実によく聞いているので、アンサンブルが自然にできます。

大江さんは秋からドイツへ留学。楽しみです。

後半はシベリウスのSym2.人気の高い作品ですが、シベリウス7曲の交響曲の中でも、難曲です。
今回の演奏は、おそらくこれまでで最も遅いテンポを選択したSym2になりました。その理由は様々で内側のことですが、どんなテンポを選択しても、この作品全体の構成バランスは変えません。

2楽章の重要性は、この作品の背景にある事象に関連します。慟哭の想いはあの2楽章のある部分グロテスクな音型、構成をきちんと緻密に演奏することで出てくると思っています。祈りとの対比、この2番はそこにポイントがある。今の自分はそのように思っています。

ワグネルOBの皆さんからも、この曲が「むずかしい・・」という声が多くきかれました。
でも、次第にセクションの中で、つくりあげてゆく音が集合してきて、シベリウスらしいアンサンブルの形態が見えてきました。耳が必要。タイミングを合わせる目だけではなく。点ではなく、面と線。そして立体的な響きの塊のやりとり・・

最近は、1番と2番はスコアを置いて、ページを開けずに指揮をします。譜面台をはずすことは、あまりやりたくない。作曲者とともにありたい。でも実際本番で譜面を見ている暇はない・・・響きをみて、奏者をみて、呼吸を見て、空気を見て、天国の作曲者の心の中を見る。そんな時間。

アンコールはアンダンテフェスティーヴォ。お決まりとなってきていますが、同じ団体でも毎回まったく同じようには演奏できない。そしてオーケストラごとに、違う色合いのフェスティーヴォとなる。シンプルな楽譜を通して、その楽団の素顔が見えてくる・・・そんな作品のような気がする・・・。

若手ヴァイオリニストとシベリウスの協奏曲を共演するシリーズ、第1弾終了です!
ワグネルOBの皆さん、ありがとうございました!
そして、大江さん、この先も身体を大切に、羽ばたいてくださいね!

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