マキシム・ヴェンゲーロフ氏をソリストとして、シベリウスのヴァイオリン協奏曲初期バージョン、
東京フィルハーモニー交響楽団の皆さんと共演のコンサート終了です。
大変に貴重な機会をいただきました。
今回使用された1904年版の初期バージョンは、リーナウ社があらたにスコア&パート譜をプリントしたものです。レンタルです。これは、昨年12月に出版された、ブライトコプフ社のJSW全集版と同じものです。少し記号の記載が異なりますが、内容は同じです。JSWの方も権利はリーナウが持っているものです。
この全集編纂者により校訂報告が入った版の楽譜で演奏されたのは、今回初めてになります。
世の中に唯一録音CDが出ている、BISレーベルのラハティ響・ヴァンスカ指揮・カバコスのソロの楽譜とは、
異なるところがいくつかあります。
録音を聞かれて本日ご来場の方は、きっと「あれ?」と思われたところがあったと思います。
コメント
コメント一覧 (2件)
昨夜のステージをサントリーホールのP席から拝聴しました。新田先生の指揮を正面からじっくり拝見できるのは2007年のクッレルヴォ以来ですが、あの当時よりもさらに悠然たる風格を身につけられたと思いました。
この「新曲」を仕切っているのは一見ヴェンゲーロフ氏のようですが、シベリウスについての識見の深さと豊富な演奏実績を土台にされた、新田先生の確信に満ちた「初期バージョン」の扱い方はとうてい余人の及ぶところではなく、ソリストを盛り立てながら的確な指示を次々とオーケストラに出して行かれる練達で堂々たる指揮ぶりは、まさにこのステージの主役に他ならないと感じました。同行のY氏、名古屋から馳せ参じたI氏も異口同音「貫禄十分の指揮だ!」でした。誇らしくも嬉しいことです。
考えてみれば、これだけの力量を秘めて居られる新田先生にとっては、演奏技術に長けた東フィル相手であれば、このステージのご成功など当たり前のことだと思います。
「現行バージョン」に親しんだ耳には、「初期バージョン」は「あれ?」の連続で、
それなりの面白さは分かりましたが、シベリウスのアイディアの盛りつけが少し多すぎて消化不良になりそうです。
ヴェンゲーロフ氏のようなヴィルティオーソの演奏家にとっては技巧のオンパレードは挑戦し甲斐があるでしょうが、「現行バージョン」と並行して演奏機会が増えるとは、保守的な聴衆には考えにくいところです。むしろ「現行バージョン」から省略された部分のみを集めて組み立てた協奏曲第2番があれば面白そうです。
いつもながら丁寧でキビキビした新田先生の指揮ぶりに比べ、ついでに聴いたヴェンゲーロフ氏の「幻想」の指揮は、ムードを盛り上げるには効果的かもしれませんが、分かりにくい動きが多いように思いました。プロのオケですからちゃんとついて行きましたが、アマチュアには無理でしょう。
しかし、熱演は大いに楽しむことができました。P席というのはオーケストラの各パートを別々に聴きとることができることを発見しました。
今回のお仕事を機会に、あちこちからさらにリクエストが出てくるような予感がいたします。それは嬉しいことですが、いま以上にご多忙になるとお疲れが心配だという取り越し苦労をしております。
junsinさま
こんにちは。ご感想ありがとうございました。今回の機会は、私自身とても多くのことを得ることができたと思っています。リハーサルを通して、本番を通して・・・。そしてこの初期バージョンで名手と、また東フィルの皆さんとご一緒できためぐりあわせにとても感謝しています。積み重ねてきたものの延長線にある公演だったと認識しています。
これからも、素晴らしい音楽家の皆さんと素晴らしい作品にじっくり向き合う機会を得られるように、やはり精進続けるしかありません。
ホールにいらしてくださったお客様に、作品のメッセージをお届けできること、それは何よりの喜びです。それはまだまだ自分を磨き続けなくてはいけませんね。またお聞きいただけますように。本当にありがとうございました。(^^♪