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この1週間をまとめます。
9月2日(月)リハーサル見学初日。
9月3日(火)見学二日目。この日は夜のリハーサル。音楽祭二日目のプログラムには、合唱が入ります。
ラハティの室内合唱団。そして歌手が複数必要なプログラム。
9月4日(水)見学三日目、10時からのリハーサル。マエストロはリハーサルで完璧に作り上げてゆくタイプではありません。リハーサル時間も毎日早めに終わってしまいます。そこから本番への変化が楽しみ・・・というところで音楽祭初日へ突入です。
9月5日(木)リハーサルにこの方、英国シベリウス協会のアンドリュー・バーネットさん登場です。
BISのシベリウス全集も、この音楽祭もバーネットさんのお力に支えられています。シベリウス協会も作品解説などで、大変にお世話になっています。3月の室内楽企画プログラムをお持ちしました。
さて音楽祭初日は、Musik zu einer Sceneで幕開け。全体を通して考えたとき、この曲での開始もなかなか考え抜かれた選曲だと思いました。「劇音楽」をテーマとした音楽祭です。
ラハティ響がこの13年の音楽祭の中で3名のマエストロによりシベリウス作品を繰り返し演奏してきたのを皆勤賞で拝聴しています。変化を毎年感じ、見て、それがどこに由来するのかを自分の仕事、指揮者という視点で分析することも自分に課していることの一つです。
初日の二つの目玉、ペレアスとメリザンド、クリスチャン二世ともに、ヴァンスカ時代とは全く異なるアプローチのマエストロのもとで、もちろんメンバーの交代もあったラハティ響ですが、今回以前に増して大きなドラマの表現が増量した音量とともに明確に聞こえてくることを実感。
この日はシベリウス協会理事でヘルシンキで仕事をされている谷口さんも来場。
シベリウス協会の会報などでもカムさんはご登場いただいています。写真を撮らせていただきました。
音楽祭二日目、リハーサルが14時30分から。そして公演の前にもう一つのミッション、
シベリウス協会ミーティングがシベリウスホールの中のカフェレストランで開催されました。
昨年は2015年にシベリウス国際会議が開催される、シベリウス生誕の地ハメーンリンナにて、この音楽祭に足を運んだ各国の協会の会長、事務局長がお招きをうけ、2015年に向けてのフィンランドの取り組みなどをじっくりと伺い、あわせてそれぞれの国の活動予定の報告がありました。
今年の参加は、毎年大所帯の英国シベリウス協会、そしてドイツ、日本。フィンランドのシベリウス協会会長、ラウリ・タラスティ氏から、日本の活動についても皆さんにご紹介してくださいました。
左が ラウリ・タラスティ会長、右が英国シベリウス協会のエドワード・クラーク氏。シベリウスの著作もあります。
この日のコンサートは、「クオレマ」「テンペスト」のオリジナル版という、実演で接することが少ない作品。クオレマの美しさは秀逸でしたね。テンペストではBIS録音と同様、コントラバス奏者のペトリさんが、男声アンサンブルに歌手として参加。二足のわらじが多いフィンランドならではです。歌の曲以外は、コントラバスの席に戻ります。日本ではお目に掛かれない姿でしょうか・・・・・
マエストロが作品ごとの間の時間を、非常に考え抜かれたタイミングで運んでいることを自分は感じました。
テンペストの劇場版は音楽だけで紡いでゆくのが少々難しいと思います。時間の隙間が苦痛にならない運び、マエストロの劇場空間の作り方、大いに勉強させていただきました。
音楽祭三日目9月7日、土曜日は日中にpiano公演があります。
今年はこちらのピアニストお二人の登場。
シベリウス協会でも何度もお世話になっている、フォルケ・グラスベックさん(右)、そしてペーター・リョンクヴィストさん(左) シベリウス協会でも2011年に日本初演の機会を得た、Adagioから始まり、最後は交響曲第3番の4手編曲版。一つのお目当てでした。いずれの作品も知り尽くしていらっしゃる演奏家による貴重な作品からは、本当に多くのシベリウス細胞を受け取ることができます。
夕方はラハティ響の関わる音楽祭最後のコンサート。カレリア序曲の素晴らしい演奏から良い流れで始まりました。音楽祭期間中はリハーサル、公演がタイトに続きます。オーケストラも三日目となると疲労もたまります。しかし非常に美しい響きで最終日の幕開け。
アイノラ響も3月に演奏したベルシャザールの饗宴は、各曲のソリスト素晴らしかった。ひやりとする瞬間もあったものの、味のあるソロ奏者の演奏が魅力的でした。
後半はお待ちかねのレンミンカイネン組曲。自分はこれを2010年にアイノラ響と演奏。アーッレ・メリカントのレンミンカイネンとセットで演奏という面白い企画でしたが、実はそれ以後本当にしばらくレンミンカイネンのスコアを開くことができなかった。「開けちゃダメ」と、スコアが言っているような気がして(というのは嘘ですが)、あの時の演奏の記憶を(よい記憶です)しばし封印し、熟成させ、次の機会に一歩も二歩も成長した自分でこの作品に向き合いたいと思ってしまったのです。今現在手掛ける機会を得たら、おそらくやはりスコアの見方は変化していると思います。
余談はさておき、オッコ・カム指揮のレンミンカイネンは、4曲のドラマが非常に深く明確に描かれていて、あの複雑なフレーズのやりとりや、リズムの交錯が完璧にそろっていたというようなタイプの演奏ではなかったものの、激流が見え、トゥオニの恐ろしさが見え、母の悲しみが伝わり、元気なレンミンカイネンの疾走が見事に聞こえました。ラハテ
ィ響の弦楽器はリーダーの交代もありますが、かなりヴァイオリンのメンバーが新しく変わっています。今回12型でしたが、以前の12型の1.5倍は音量が出ているのではないでしょうか。ヴァンスカ時代の清冽な美しい透明感のある響きの姿が少なくなってしまったのは個人的にはさみしく思いますが、様々な意味でオーケストラは大きく成長していると感じたレンミンカイネンでした。
この日は恒例となりつつある、日本人大集合&お食事会でした。
今回音楽祭にお客様として日本からいらした方、なんといずれも関西から!
ユヴァスキュラで勉強するアイノラ響メンバーも関西、そしてヘルシンキからはフルートで留学中のもうひとりの「ゆりさん」もいらっしゃいました。
Facebookに、日本シベリウス協会のページを今春作成しました。そのページ作成を担当しています。そこに記載した記事にプログラム内容も詳細をまとめました。www.facebook.com/SibeliusSocietyOfJapan
よおしければご覧ください!日本シベリウス協会の企画も、どうぞよろしくお願いします!
さて、フィンランド滞在もあと1週間弱。ここからは帰国してすぐの仕事の準備、そしていつもながら原稿執筆の宿題!
今年は2度にわたりフィンランドの夏~秋を体験しています。
今年の音楽祭期間中は見事な晴天。そして気温が高かったのです。
ほぼ同じ時期に開催されていますが、年によって気候はかなり違います。
夏のような日差しです。
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