名古屋シンフォニア第78回定期演奏会終演

名古屋シンフォニアプログラム

5回目の共演、名古屋シンフォニア管弦楽団の皆さんとの第78回定期演奏会が終演しました。緊急事態宣言も出る中、様々な声がありましたが、メンバーの皆さんの開催への強い意志、想いが溢れていました。そしてそれを実現するために、リハーサル時から感染防止対策を徹底しての準備、当日もお客様対応、また楽屋、ステージあらゆるところでの対策の徹底を行ったうえでのお客様をお迎えしての公演となりました。

ステージリハーサル

オールシベリウスプログラム。「フィンランディア」「カレリア組曲」「交響曲第2番」という、シベリウスの中でも特に人気の高い作品が並びました。個人的にはこのプログラミングは避けてきた・・・人気曲は手強い!
フィンランディアは、フィンランドの某マエストロが某プロオケを前にして烈火のごとく怒ったという話を知っている。作品の背景や作品成立過程を知るに、そして作曲されてから世の中で演奏するために半ば命がけであったことも知るに、やはり気軽には演奏できない。オーケストラの各セクションを繋いで紡がれる旋律は高貴な力強さ。中間部の後日歌詞がつけられた部分は、限りなく祈りの想い。8分の中に非常に内容の濃い音楽が続いてゆく。フィンランドの音楽祭でアンコールにこれが演奏されると、年配者は起立して聞く・・ということも体験している。そんな様々な作品にまつわることを抜きにしても、シンフォニアの皆さんは、非常に真摯に情熱をもってこの作品を演奏してくださった。冒頭の金管の響きも素晴らしかった。続く木管の歌も切々と哀しく、受け継ぐ弦楽器は渋く重く語る。この連携ができれば、作品は自然に動き出す。

「カレリア組曲」この曲も特に3曲目は人気だが、演奏はなかなか大変。体力も必要、そして付点音符の連続はそれなりの技術も必要。2曲目のバラードは大きなソロもある。ヴィープリの城で静かに語る高貴で素朴な歌。1曲目のホルンに課せられる役割はなかなかハード。弦楽器の静かな刻みも意味がある。その色彩も作り上げたかったが、オーケストラの取り組みは素晴らしかった。2曲目のコールアングレによるソロは団長が演奏。お見事でした。

「交響曲第2番」こちらも、一番人気ながら手強い。個人的には7曲の交響曲の中で最も大変だと感じている。第1番、第2番はチャイコフスキーの影響も受けている大きな作品ながら、シベリウスが交響曲を書く前に作曲している、クッレルヴォやレンミンカイネンといったカレワラ由来の作品たちに見える独自のスタイルと、一般的な交響曲に求められる構成の融合とバランスが難しい。第2番はドラマ性が明確で、最後が明るく終わるという起承転結の明確な作品ながら、この曲の背景にも多くの複雑なドラマが隠れている。フィンランド社会が変革期を迎えていたこともあり、当時のロシアに対するフィンランド国民の想いを代弁というレッテルを張られたことには、シベリウス自身は抵抗している。「これは個人的な告白、独白、心情の吐露だ」と。演奏するとすぐにわかるが、自分のパートを一人でさらっていてもよくわからない部分が多いのがシベリウスの管弦楽作品。文字通り全員が集まらないと姿が見えてこない。旋律は切り貼りのように他のセクションと連携して一つのものとなっており、オーケストレーションも独特。個々のパートに課せられている音型も複雑難解。自分の音が何のためにどのように存在しているのか・・・それをわかってはじめてほかの音との連携がわかる。リハーサルはその積み重ね。
本番は、本番ならではのことも発生したものの、シンフォニアの皆さんの集中力は凄かった。良い音がしていた。ソロもそれぞれ作品の魂が聞こえた。私自身2019年10月以来のシベリウスの交響曲の公演指揮だった。とても嬉しくありがたい時間だった。

頂いた花束と同行者ムーミンたち

終演後、いつものような打ち上げは行われない。ステージ上に再集合して、ご来場くださったトレーナーの先生方のコメントも頂き、私も皆さんに感謝をお伝えし、団長の総括もあり、お互いに無事に開催終演したことを喜び終えた。
通常のリハーサルの時にも、今回はメンバーの皆さんとの歓談は一切行わなかった。リハーサルを終えたらすぐに帰宅。その連続だった。それでも、だからこそリハーサルの時間、ステージの時間での集中力は高かったかもしれない。音だけで会話。

シンフォニアの皆さんとは、シベリウスのSym.5での共演から始まっている。その後ショスタコーヴィチSym.6,Sym5,そしてマーラーのSym.2 それ以来の共演。裏方も含めメンバーそれぞれが様々な役割をもって、オーケストラ運営にあたっている。厳しい日々はまだ続くが、これからも十分に気を付けながら活動を継続されることを心より願っています。

このホールは本当に素晴らしい音響で、演奏していても気持ちよい。50%の入場制限を設けた中で最終的に450名ほどのお客様がご来場くださった。ありがとうございました。じっくりお聞きいただいていたのを背中で感じていました。
名古屋とのご縁はこれで一区切りとなる自分です。2005年から2007年までの愛知県芸での授業。その後愛知室内オケとのご縁が2012年から始まり2015年から2020年まで務めた常任指揮者の役割も終わり。ようやく名鉄を乗り間違えなくなり、JRも方向が分かるようになり、名古屋市内もバス移動できるようになったのですが・・・(笑) またいつの日か名古屋で演奏の機会がありますように、精進続けます。
ありがとうございました!


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