ACOオピッツ特別演奏会終演

こちらのブログは大変ご無沙汰していました。10月から活動再開し、いろいろなことが続き、また締めの公演も続き、あっという間に年末のこの最大規模の公演を迎えてしまいました。
まずは、多くのお客様をお迎えして開催できる運びとなったこと、関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。客席数は減らしての開催ではありましたが、両公演ともほぼ満席、第2部は完売という有難い状態でオピッツマエストロをお迎えできました。

そもそもの始まりについては以前も触れていますが、2012年4月にお弟子様佐伯氏がプラハで、オピッツさんとオスモ・ヴァンスカの共演に立ち会う機会があったことから始まっています。その後個人的な交流の機会も頂けるようになり、来日の折にはその素晴らしい音楽に接する機会を頂いてきました。私がACOの常任のポストを頂いてすぐに、いつか共演をと考え始めましたが様々な条件が合わずすぐには実現はできませんでした。
今年この時期にかなったのも複雑なタイミングの偶然がありました。フィンランド公演を終えた後、私の任期延長無い事が決まり、では最後に置き土産・・・ということでオピッツさんとの共演をベートーヴェンイヤーに!という企画に背中を押してくれたお弟子様には深く感謝します。このタイミングを見つけるリサーチも尽力してくれていました。
オーケストラの了解も取り付け、そして特別協賛としてサポートくださった方の存在もあり1年前には具体的に企画実現に動き始めていました。ところが、新型コロナウィルス禍に見舞われました。オピッツさんの来日が叶うか否か、10月末まで明確にはできない状況の中、各所のご尽力、またオピッツさんご夫妻の日本公演への強いお気持ちもあり今回の実現へと漕ぎ告げることができました。本当に皆様ありがとうございました。
そしてこの特別演奏会のプログラムノートは、山崎太郎氏にお願いすることができました。ワーグナー研究者として現在大活躍されていますが、何を隠そう同級生です。中学時代休み時間にクラシック談義をしていた仲間でもありました。
今回もワーグナーの言葉からベートーヴェンを見る視点も含めた素晴らしい内容の原稿を頂きました。ありがとうございました。

一日に2公演形式で、2-1-3(第1部)4-5(第2部)ということを行うための、ホール関係者また事務局スタッフ、ステージスタッフの感染拡大防止対策は大変な作業がありました。心より御礼申し上げます。この公演だけではなく、ステージを成立させるための裏方の作業増加、ご尽力には頭が下がります。演奏者として決してそのことを忘れてはいけないと、肝に銘ずる日々が続いています。

https://twitter.com/ac_orchestra/status/1342017211532070915
オピッツさんとの初合わせは12月24日。クリスマスイブに我々は至高の時間を頂きました。この前二日間、オーケストラのみのリハーサルを行っていました。24日に、2-1-3番を初合わせ。初めの音が出た瞬間から、オーケストラメンバー全員が全身耳という状態になったことを、私自身感じました。その集中力、そしてソリストの世界に迫りたいという気持ち、ともにベートーヴェンの音の世界を紐解きたいという姿勢、それは6年間積み重ねてきたものの上に更に重なった、特別な時間であったと思います。翌日25日は4-5番。番号を追って作品の本質が変わってゆきます。オピッツさんの音も、響きも、呼吸も変わります。そのことに対して、多くの言葉を要せずともお互いに理解してゆくACOの姿は非常に嬉しいものでした。

https://twitter.com/ac_orchestra/status/1343000437083885568
そして迎えた公演当日。ステージリハーサルはほんの短い時間。ポイントのみ。
第2番はまだ少しオーケストラ側も緊張が見え、力も入っていた部分も見られましたが、オピッツさんのソロパッセージが流れると、そこからはひたすらに音に集中するのみ、音の会話だけが存在するという至高の時間が流れました。
2番―1番と続き、30分の休憩を頂き第3番。初めの2曲からお客様からの拍手がものすごく、オーケストラ側も励まされる想いでした。
2時間弱の大きなインターバルを頂き、会場内の全部の消毒作業に入りました。
そして第2部、18時30分開演。第4番、第5番を短い休憩を挟み演奏。曲を追って深くなるマエストロの音の響きを我々も感じながら、ともに作品を旅した・・・そんな実感が残りました。
マエストロの奏でる音楽には、正直のところ何も言葉はいらないと思っています。特に各協奏曲の第2楽章の美しさは格別でした。音の行間に見える世界に、私自身も何度も溢れるものを抑えるのに必死という状態でタクトを持っていました。
ベートーヴェンの音楽の本質、宝の部分は第2楽章にあるということ、この春からの自粛期間での個人的勉強の中で実感していました。その最高の形をすぐ傍の特等席で体感できたということ、一生心に刻み持つ時間となりました。
ACOの静寂な時間への神経の使い方や、音色の追及も積み重ねた時間にプラスして更にステップアップできたのではと思います。

https://twitter.com/ac_orchestra/status/1342812874285043718
終演後すぐにホール内で、楽員の皆さんから任期最後にあたってのメッセージや、贈り物を頂くセレモニーがありました。
サプライズでしたね。11月の定期公演として最後の時にも特大の花束も頂戴したのですが、今回プリザードのブルーローズやムーミンの贈り物。ありがとうございました。色紙もいただき、何やら学校の先生の退任という気配もありましたが・・・確かに愛知県芸に勤めた3年間の時に学生だったメンバーは複数います。そのため就任当初「先生」と私を呼ぶことを、固く禁じました(笑)
10月から3回続いた定期演奏会のことも十分に振り返ってはいませんが、この6年間本当に様々なことがありました。音楽的な喜びもたくさんありました。私の未熟故大変だったことも多々ありました。何より初めてポストを頂いてのプロ楽団での仕事。体制が整っていない中、運営についても試行錯誤喧々諤々行いながらの6年間。音楽以外の事でも、私自身多くの学びを得た歳月でした。
2021年から愛知室内オーケストラは大きく変化することは、公式サイトをご覧いただけるとお分かりいただけると思います。
新たな道へ踏み出す彼らを送り出し、私自身もまたタクト一本で命ある限り生きてゆくことを選択した今年です。
その最後に、ゲルハルト・オピッツという世界的な音楽家との得難い公演の機会を頂けたこと、重ねて深く感謝申し上げます。オピッツさんと細かな打ち合わせは全くせず、しかしリハーサル、本番の中でマエストロから発信される巨大なメッセージを受け止める中で、私たちに多くの教えも下さったと感じています。
今なおマエストロの音は自分の身体に流れています。二度とないであろうこの音楽の時間を大切に刻み、新たな時代に向かいます。本当にありがとうございました。ご来場いただけた皆様、ご感想、叱咤激励コメントに頂戴できますと幸いです。


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