先日、「ステーンハンマル友の会」主催の府中の夏 北欧の風音楽会2020partIに伺いました。
ステーンハンマルは1871年~1927年を生きたスウェーデンの作曲家。こちらの会の主宰はピアニストの和田記代さん。(写真中央)
スウェーデンの音楽の研究と演奏を長く続けられています。この日は、ベートーヴェンとステーンハンマルのピアノソナタを拝聴しました。ベートーヴェンの作品101 A-Durとステーンハンマルの作品12 As-Durの二つのソナタに多くの近似値を見つけられた和田さんによる解説と演奏。おもしろかった!
この写真に写る三人は、いずれも北欧音楽に関わる協会の関係者。左側は、日本グリーグ協会の事務局長をされている、やはりピアニストの田邊英利子さん。ちなみに私も協会会員です。そして右側の私は、日本シベリウス協会に2004年からお世話になっています。スウェーデン・ノルウェー・フィンランドと国をわけて作曲家に焦点を当てて集う会の代表者が揃った・・ということでこのようなソーシャルディスタンス写真となっています。
そう、デンマークがいませんね。私自身、ゲーゼとニルセンという二人のデンマーク出身作曲家も追いかけているので、何かの形でデンマーク音楽の会は考えてみようとこの日、あらためて思いました。
北欧音楽というと大束省三先生、菅野浩和先生という鬼籍に入られた重鎮の先生方が日本に多くのことを日本語で紹介くださいました。そこに演奏家として渡邉暁雄先生、舘野泉先生が多くの録音実演を残されています。現在研究者としては、すでにご本も出されている神部智先生の研究が日本では最も新しく確かです。また北欧の合唱音楽では松原千振先生、堅田優衣さんの存在が大きいですね。
北欧五か国に関しては、作品や音楽家は知名度が上がってきており、特に音楽家は非常に多くの北欧出身音楽家が世界で活躍する才能豊かな地域になっています。北欧とバルト三国は歴史も文化も言語も異なりますが、(フィンランドとエストニアは歴史の交錯があります)そこまで範囲を広げると本当に世界的に名前をきく人が並ぶのです。例えば指揮者はいわゆるメジャーのオーケストラにポストを持つ比率が非常に高い。今話題の最若手24歳のクラウス・マケラはフィンランド人ですが、少し前まで最若手として世界に羽ばたいたサントゥ・ロウヴァリもフィンランド人です。指揮者のフィンランド人率は非常に高い。
そのような活躍する音楽家の名前は目にしていても、北欧音楽そのものについて日本語で読める資料はまだまだ少ないです。そして作曲家や作品について研究された著書も少ない。今の時代ネット上で最新の情報は受け取ることができますが、蓄積された研究を知ることにはまだハードルが高い地域です。
上記の3つの音楽協会のほかにも、独自に北欧の作曲家に焦点をあてた活動をしている人はいます。
ピアニストで北欧音楽研究者の小川至さんは、最近新たにご自身のウェブサイトを作成され研究の成果を発表されています。
小川至official website ぜひこちらをご覧ください。美しいサイトです。実は愛知室内オーケストラで北欧作品を含むプログラムの時は、近年小川さんにプログラムノートをお願いしています。しっかりしたリサーチと的確な文章で大変にいつも充実した内容の文章を頂いています。
それから日本フィンランド新音楽協会 があります。私もメンバーです。こちらはシベリウス以後、現代の作曲家に焦点をあてた活動をしています。作曲家の一柳慧先生とチェリストで以前駐日フィンランド大使館参事官もされたセッポ・キマネン氏を理事長としています。刺激的なアプローチの公演や講演があります。
また以前2017年のフィンランド独立100周年の年にご一緒した「カンテレ友の会」もフィンランドの民族楽器であるカンテレを愛する皆さんの集いで、様々な活動をされています。
いずれも非営利団体です。ですので興味を持ちともに活動する会員の方の会費で運営する団体です。大きなことはできません。でもいずれも中身の濃い活動をしていると思います。非営利だからこそ追求できることもあります。
日本シベリウス協会も2005年以降、本当に公演企画が続きました。今はひと段落です。この状況もあり新たな活動を模索しています。まもなくご案内できます。シベリウスを愛する人が集い、愛好家、研究者、演奏家という様々な立場で関わる人が集い、柔らかな集いとして多くの可能性を秘めていると感じています。
自分のここから20年、これまでの20年にちゃんと積み重ねられるように、歩みます。
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