弾く-Grieg-1

2020 7/10
Grieg 抒情小曲集

先日漸くグリーグのLyrie Pieces全集版が届いた。件のGadeにまつわる1音の謎については、ひきつづき調査継続中。
Op.12の第1集からOp.71の第10集まで管弦楽作品にもなっている曲を含め、グリーグの魅力満載のピアノ曲集。これも全部一度弾いてみようという個人的プロジェクト第二弾を始めることにした。
指揮者として、モーツァルトの41曲+&、ハイドンの104曲、ベートーヴェンの9曲、シューベルトの8曲、シューマンの4曲、ブラームスの4曲、チャイコフスキーの6曲、マーラーの10曲、シベリウスの7曲、ニルセンの6曲、ショスタコーヴィチの15曲の交響曲は必ず命あるうちに勉強しつくしたいと思っている。もちろんその作曲家の全容は交響曲のみならず、すべての作品を知ることは必須。素晴らしい作品ほど深遠なる世界をもち、それを知り尽くすのは凡人の自分には限りなく無謀な旅だと思うようになってきた。それでも時間をまだ頂いているのであれば、歩みを止めず続ける。同様の方向性として、交響曲のヒトではないが、グリーグのピアノ曲、歌曲は管弦楽作品の演奏にむけても大事な作品。
まずは第1集から。

Grieg抒情小曲集第1集
Grieg抒情小曲集第1集より第1曲目アリエッタ

いきなり、美しき名曲アリエッタ。グリーグのピアノ曲については、「グリーグ全ピアノ作品演奏解釈」アイナル・ステーン・ノクレベルグ著(大束省三訳)に詳細な解説がある。ノクレベルク氏は演奏の方もピアノ曲全集を録音されている。
こちらの解説書によると、この第1集に対してドビュッシーが「雪に包まれたキャンディーのよう。甘く、可愛らしく、明るく軽やかで、涼し気に爽やか」と評しているという。確かにそのとおり。そしてこの冒頭のアリエッタは、曲集第10集の最後、つまり66曲目の抒情小品曲である「余韻・Nachklänge」に同じ旋律が浮かび上がっている。

第2曲「ワルツ」、第3曲「夜警の歌」、第4曲「妖精の踊り」、第5曲「民謡」、第6曲「ノルウェーの旋律」、第7曲「アルバムの綴り」、第8曲「祖国の歌」。この8曲からなる。グリーグの民族的な音楽を背景に持つ作品は多い。それは引用ではなくグリーグ自身の創作。5度音程のドローンが多いのは、民族楽器であるハーディングフェーレ(ハルダンゲル・フィドル)に特徴的な共鳴弦がもたらす響きの影響か。ペールギュントも劇音楽の全曲版には婚礼の場面でこの楽器の活躍する音楽が登場する。日本にも山瀬理桜さんというこの楽器の専門家がいらっしゃる。彼女は最近Youtubeにノルウェーについて多面的に解説するチャンネルをオープン。ぜひご覧ください。

抒情小曲集第1集は1867年に出版。第1集終曲の「祖国の歌」は、作家ビョルンソンがこの作品の音楽に感激してそれに詩をつけている。1867年のクリスマスイブにビョルンソン家に招かれてグリーグ夫妻が訪れた。グリーグはクリスマスの贈り物にこの「第1集」を贈り、そこでビョルンソンは自身の「短編小説集」をグリーグにお返しとした。その場でこの「祖国の歌」がグリーグにより演奏され、ビョルンソンに大いにインスピレーションを与えることになったという。
ちなみにビョルンソンは、かのイプセンのあとにノルウェー国立劇場の監督に就任した人物。

グリーグもシベリウスも弦楽アンサンブル作品に美しい小品がある。いずれも美しいが響きも旋律の特徴も、和声もかなり性格が異なる。この抒情小曲集を66曲取り組んで、またいろいろ見つけてみたい。

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