弾く9

ベートーヴェン ピアノソナタ32曲弾いてみようプロジェクトは後半に。ヘンレ版第2巻に入った。こちらの方が大学生の頃に購入したので、年季が入っている。あくまで私的に自分の勉強のための歩み。

この曲は、入試、音大の試験等等、嫌というほど耳にしたソナタ。しかし自分は勉強していない。初見なり。耳から入っているので第一楽章は身体が記憶していた。このシンコペーション、揺らぎは何ぞや、と楽譜を見ずに聴いたら おかしくなる人もいるだろう。トリック、ユーモア、実験、挑戦、どれだろうベートーヴェンの意図は。
作品31は3つのソナタから成る。その第1番目がこの第16番。この作品の出版にはひと騒動あった。スイスの出版社 ハンス・ゲオルク・ネーゲリから委嘱を受けて作曲。しかしネーゲリが1803年に出版した時に、なんとこの第16番の第1楽章末尾にネーゲリによる4小節が追加されていた。もちろんベートーヴェンは激怒!この作品の修正版をジムロック社とウィーンのカッピから出版させている。なんと恐ろしいことを、ネーゲリなる人物は行ったことよ・・・


これまた第二楽章が面白い。イタリア風歌曲という人もいる。装飾音のスタイル、テーマの変奏、同型の伴奏、それらは確かに、歌手の即興的装飾が喜ばれていた時代の音を思わせる。ロンド形式の第3楽章は、また左右の手が忙しく鍵盤を駆け回る。これもまたユニーク。ところでこの1802年当時のベートーヴェンはすでに聴覚に異常をきたしていた。有名なハイリゲンシュタットの遺書は1802年の秋である。そのような状態でこの軽妙でユーモアに満ちた作品を書き綴るという精神力と創意に感服しかない。

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