弾く2

Beethoven piano sonata op.7

Beethovenピアノソナタ全32曲を弾こうプロジェクト第二弾はop.7, op.10-1の2曲。つまり第4番と第5番。
第4番は初見。そしてこの作品の第2楽章に大変惹かれ、これまで知らなかったことを恥じた。ここまで第1番~第5番を弾いてきて1795年~1798年というまだ交響曲が生まれていない時期の作品の中に、のちの作曲家が交響曲に埋め込んだピースが見え隠れしているのが面白い。そして一様に緩徐楽章がデリケートな書法で未来の音楽に繋がっている印象を受ける。交響曲においても第2楽章に充実のエッセンスを見るが、様式に収まらない内的表現が初期のソナタでも多く聞こえてくることを感じる。

自分の弾くという行為はあくまで自分の勉強のためなので、演奏家ピアニストのそれとは異なると思っている。ほんの時々人様の前で弾く機会をいただくこともある。多くは伴奏、そしてレクチャーコンサートの時。今現在6月に一つ予定されている。まだ開催について正式な回答はないので、準備は進めている。6月の予定企画テーマはもちろん「北欧」。自分も演奏しながらいろいろな側面をご紹介するという方向で準備している。


北欧のピアノ曲も最近は手掛ける人が増えてきた。北欧研究も含め現在、ピアニストの小川至さん、山根浩志さんのお二人が幅広く北欧全域の作品をリサーチしてコンサート企画など行っていらっしゃる。またグリーグ協会の理事でもいらっしゃる、正木文恵さん、スウェーデンの作曲家ステーンハンマル友の会の代表でもいらっしゃる和田記代さんも、リサーチ活動と演奏ともに深めていらっしゃる。そして日本シベリウス協会にも最高顧問の舘野泉先生を初めとして多くのピアニストが所属して、シベリウスはもちろんフィンランドの作曲家を研究、演奏を続けている。研究の延長に楽譜の出版においても活躍されている方もいらっしゃる。北欧五か国はそれぞれに異なる特徴を持っているということも、まだまだ一般的には知られていない。私自身は管弦楽作品においてそれを実演でできるだけ多く聞いていただき、新たな世界を楽しんでいただけたらという想いで活動を続け、今後も続けていく。
シベリウス、ニルセン、ゲーゼという3人の作曲家が自分の中では大きな割合を占めている。折々レクチャー公演などでお話を含めご紹介の活動も行ってきたが、今後更にそれを定期的に形に残していきたいと考えている。
特にニルス・ゲーゼという作曲家は、デンマーク出身で19世紀当時中欧でもよく知られ活躍していた作曲家。ニルセンの師匠でもあり、北欧音楽の父親的存在。肩書だけではなくその音楽も、中欧と北欧を結ぶ線が明確に聞こえてくるものを遺している。メンデルスゾーン、シューマンとの繋がりの側面から見ても興味深い作曲家。ACO愛知室内オーケストラとの共演では、これまで第1番、3番、4番、8番を演奏してきた。今年3回の定期演奏会において、5番、6番、7番を取り上げる。自分がゲーゼに出会ったのは1992年。交響曲第1番を日本初演した後、アマチュア楽団においても第1番、第6番、オシアンの余韻序曲など何度か演奏してきた。プロの世界ではまだ2つの楽団と共演のみである。
ある意味、シベリウスとともにもう一つのライフワークとなっているゲーゼ。このゲーゼをご紹介する企画を考えようと思っている。準備ができたらご報告いたします。そしてゲーゼをリサーチすると、北欧のほかの作曲家、そして前述のメンデルスゾーン、シューマンにも枝が伸び、そのあたりも知っていただくとゲーゼに対する??マークが少し減るかもしれない、などとも思っている。
ということで、ニルセンの小品も弾いてみた。本当に独特な音使いとリズム。交響曲に繋がるものを感じる。
古今東西山ほどある作品たちに向き合う時間は、実はいくらあっても足りない。自分の人生の時間は限りがある。作品を眠らせずに次の時代に解き放つこと、「やるべきこと」はそれだけだと思っている。その「やるべきこと」の実現のためには、社会と密接に関わり現実化させる方法が必要。指揮者ただ一人では何もできない。作品が求める演奏する人の存在を継続させること、繋ぐこと、やっていることを広めること、やっていることの質を高めること、数限りなくなすべき作業と試行錯誤は存在する。忙しさがなくなっている分、今一度厳しく深く考えるという時間をもらっている。

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