Sibelius Academyリモート講義終了!

9月29日は、おそらく近年最大値の緊張感をもって準備を進めていた講義が無事に終了しました。
フィンランドの唯一の音楽大学、シベリウス・アカデミーの吹奏楽指揮者コースから依頼が入り、「リモート講義をしてほしい」という打診が届いたのが今年の春はじめ。本当は昨年この授業担当の先生から、フィンランドに来た時にアカデミーの自分のクラスで一日指導をしてほしいと依頼されていました。しかしこの事態。今もフィンランドには入れません。そのためオンラインという方法で授業をという新たな打診となりました。内容は「日本の吹奏楽について」という大きなタイトル。でもそのオファーがあった時にすぐに何をすればよいかは頭に浮かんだので、少し思案したもののお引き受けすることにしました。
それからが、大変!
昨年国立音大で木曜日の第一限に持っていた授業、「吹奏楽指導法」で前期に取り上げていた内容と重なる部分もあり、資料は手元にいろいろある状態でした。もちろんアカデミーでの授業は英語。(フィンランド人以外の留学生もいるので)資料もすべて英語にしなくてはいけない。日本語での資料リサーチは、私の元弟子たち。初めの弟子、中村匠君、二番目の弟子、今もアシスタントを多く務めてくれている佐伯正則君ことお弟子様。このお二人にほしい情報を伝えて、リストアップをしてもらいました。そこから再構築して最終的なパワーポイントのページを作っていきます。英訳はこのところ私の事務的な仕事サポートをお願いしている田畑千穂さんに依頼。彼女は英語で仕事をしている人です。私の英訳を添削していただくことと、元からの翻訳と二種類。かなりの量となりましたが早い仕事で大変助かりました。皆さんには大感謝です。

コンテンツは「日本の吹奏楽の歴史」「日本の吹奏楽の現状」「日本の伝統的な楽器の紹介」「日本の作曲家と作品」
これらの大きな項目の中を更に細分化。「現状」の項目で、現在学校の教員をしている元弟子の中村匠君からいただいた資料をみて、私は愕然としていました。自分も以前は吹奏楽コンクールの審査などに関わっていたので知っていたつもりでしたが、スクールバンドの数の多さとコンクールの多さ。最近その現場からは離れていたので、あらためてその数を見て驚いていました。
フィンランドの皆さんもそうだったと思います。フィンランドと日本はほぼ同じ面積を持つ国。フィンランドは550万人、日本は1億2500万人・・・
和楽器の紹介のところでは、国立音大の打楽器研究室に大変お世話になりました!

打楽器専攻生の新井君ですが、このような形で和楽器を数種類、英語で解説を挟みながら紹介してもらいました!

同級生でもある幸西教授のご指導のもと、打楽器アンサンブルで、外山雄三「管弦楽のためのラプソディ」を打楽器アンサンブルに編曲したものを演奏していただきました。和楽器が活躍します。編曲は卒業生の照屋さん。皆さん貴重な時間をいただきました。本当にありがとうございました!

そして9月24日に終了した、Bブラス 国立音大ウィンドシンフォニー第43回定期演奏会から、「風紋」も聴いていただきました。Bブラスの皆さんもありがとう!
日本の作曲家リストは、あらためて調べると本当に膨大なものになります。その中から選び取っていくのが大変でした。
実際に音源なども一部聞いていただく方法を取ったので、先方は興味を持って日本の作品を聞いてくださいました。
2時間半という時間、思ったほど長くなかったというのが実感ですが、慣れぬこと、相当に緊張していた自分でした。
PowerPointで60ページほどの資料作成は、夏を挟んで少しずつやったとはいえ、かなりハードワーク、ハードミッションでした。そして演奏実演動画などをzoomでファイル共有で流そうとしたのですが、前日の実験でうまくゆかないことが判明し、慌てて技術サポートを受けて解決策を探したという経緯もあります。この部分は高校の後輩の力を借りました。日頃zoomで指導をしているという後輩は、様々な問題への解決策を提示してくれました。其の部分の知識が浅かった自分は、見込みが甘かったということです。

今回のことで講義の内容もそうでしたが、英語についても、また技術的なことについても、学んだことが多かった。もう同じことはできない、勘弁して!という気持ちですが、それでもこの厳しいミッションに取り組む機会を頂けたこと、本当に良かったと思っています。依頼主であるこのクラスの先生はペトリ・コムライネンさん。ラハティ響のホルン奏者でもあり、指揮者としても活動しています。そしてシベリウスアカデミーの吹奏楽指揮者コースでも指導をしています。
アカデミーは、通常の指揮者クラス、吹奏楽、合唱というように分類化されています。考えてみれば専門職でありそのような勉強は適切なのです。日本はその点「指揮科」というものがあるだけで、そこから様々な分野に分かれて活動しますね。
そのことも質問されました。日本の吹奏楽の指揮者は、どのような勉強をした人がいるのか、専門的に勉強できるところはあるのか・・等々。今は日本の音大にも「吹奏楽」を専門に学ぶコース、学科を設けているところがあります。吹奏楽指導者コースなどという内容もありますね。

今回このコースの履修生たちは、個々にラップトップやiPadなどを持ち自宅で受講というスタイルでした。非常に慣れていて、こちらの講義をどのように聴くか、zoomというツールも扱いなれていましたね。とにかく皆さん、日本の吹奏楽作品に大変興味を持っています。日本の出版社の皆さん、ぜひぜひそういう皆さんからの注文を受けられるようにウェブサイトなども英語対応を増やしてほしいなと感じています。過去二回、私もフィンランドの吹奏楽団で日本の作品を演奏する機会がありました。演奏者も聴衆も、異なる文化の音、歌にとても興味をもって、また共感をもって聞いてくださったこと心に残っています。

吹奏楽とのご縁がここまで長くなるとは思っていなかった自分です。中学生の時にアルトサクソフォーンを吹奏楽部で吹いていました。コンクールなどには縁のない学校でした。その後念願だったヴァイオリンに持ち替えてオーケストラ部に入り高校時代を過ごし、今に至っています。ヴァイオリンはもう弾けませんが・・・。
母校である国立音大の吹奏楽授業にお世話になって、今年で四半世紀です。一つの大きな節目区切りです。
その年にこのような機会を頂いたこと、大切に受け止めています。本当にありがとうございました!
来年はアカデミーで一日直接指導をすることを依頼されましたが・・・この事態は収まっているでしょうか。そう願います!



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