100,000年後の安全を見ました

昨日は個人的に「映画の日」と、なりました。
以前から気になっていた映画でしたが、お弟子様のプッシュもあり、昨日見に行きました。

こちら「100,000年後の安全」
東武練馬駅にある、映画スペースで見ました。都内だけでも10か所ほどで上映されていますよ。
今回の震災を受けて、上映が前倒しになったそうですね。

<毎日、世界中のいたるところで原子力発電所から出される大量の高レベル放射性廃棄物が暫定的な集積所に蓄えられている。その集積所は自然災害、人災、および社会的変化の影響を受けやすいため、地層処分という方法が発案された。

 フィンランドのオルキルオトでは世界初の高レベル放射性廃棄物の永久地層処分場の建設が決定し、固い岩を削って作られる地下都市のようなその巨大システムは、10万年間保持されるように設計されるという。

 廃棄物が一定量に達すると施設は封鎖され、二度と開けられることはない。しかし、誰がそれを保障できるだろうか。10万年後、そこに暮らす人々に、危険性を確実に警告できる方法はあるだろうか。彼らはそれを私たちの時代の遺跡や墓、宝物が隠されている場所だと思うかもしれない。そもそも、未来の彼らは私たちの言語や記号を理解するのだろうか。>

この問いかけが全編を貫き、シンプルでクリアーな映像とともに深く我々に突き刺さります。
オルキルオトOlkiluotoはボスニア湾に面したところにあり、美しい街ラウマの北に位置しています。
ラウマ出身の音楽家は多いのです。実はヨウコさんもその一人。

オルキルオトにある原子力発電所は現在も稼働しています。
以前津田塾大学の石野先生に頂戴した現在のフィンランドを解説する本によると、
フィンランドはかなりの原子力依存国です。暖房を必要とする国です。そして主要産業の製紙パルプ産業、金属産業のために多くのエネルギーを必要とする国家となっています。エネルギー消費量は非常に高い国家、温暖化の影響を考えると現時点で原子力に多くを依存している状況だということです。
そのフィンランドが避けられない問題、放射性廃棄物の処理について時間をかけて検討し、決めた答えがこの映画です。

Onkaloというプロジェクト、いえ、装置という言葉で説明されていましたね。
フィンランド語で洞穴という意味のある言葉ですが、その言葉の通りです。
フィンランドの地層は安定しています。地震は「ない」と言って良い地域です。だからできるプロジェクトです。
Onkaloの説明はこちらを。ヴィデオ付き解説があります。映画でも見られる映像です。

本日、菅総理がメッセージを出しましたね。その影響や対策を充分に練ったうえでの発言であってほしいと願います。これまでのパターンでは、トップの発信にはことごとく内輪から問題提起がなされ前へ進まない。
今日の発言は相当に覚悟があってのものと思いたいです。それほど大きなことだと私は思います。
「希望」や「夢」は誰でも発信できるのです。特に現在は簡単に世間にメッセージを発する機会にあふれている。しかし国家という大きな船の航海には、具体的な航路を決めることの背景に途中の諸問題の分析と、起こりうるあらゆる現象のための対応策を練ってこぎ出さなくては。乗船客はもちろん安心できないし、乗組員も「気持ち」だけでは為すべき任務を全うできない。

原発にこだわるのは親戚が影響を受けていることももちろんですが、数年前からの漠然とした不安、自然災害国家日本の準備不足が現実になってしまったということ、そして未来に向けて我々の世代が逃げずにまっすぐに向き合わないと、子供世代に次の時代を渡せないぞと、空想の物語の中ではなく現実にそれがありうることを気がついてしまったからですね。充分に遅いですが。そして音楽家の自分には具体的な対策に何も力はありません。でもどのような未来を望むかを勉強し、発信することは可能かもしれない。
その意味でも、今回の映画「100,000年後の安全」はとても大きなものを得ました。

もう一つ、音楽映画も見ました。

mahler poster.jpgmini.jpgマーラーとアルマ、そしてフロイトが重要な役割を担っている映画です。
メインの作品は未完の交響曲第10番。そこに第4番、第5番の一部が使われます。
まだこれから全国各地で上映なので詳細は伏せます。

そして

salonen conducts.jpgmini.jpg

音楽を担当しているスウェーデン放送響を指揮するサロネンの収録シーンがまとめられている短編も
本編とは別に見ました。これは渋谷でしか上映されていないそうです。ああ、北欧のオーケストラだなと感じます。そして、ああサロネンだ・・と、思いました・・・って全く感想になっていませんが(^^ゞこれも伏せます。

このマーラーを見た時予告編で出ていたのがこちら、
meshitootome.jpgmini.jpg

映画の音楽はシューベルト「死と乙女」です。この曲のマーラー編弦楽合奏版はフィンランドで2007年に演奏しました。作品のことはともかく・・・・(題名に怒る方もいらっしゃるかもしれませんが)、なかなかのネーミングです。密かに見に行きたいなと思います。

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 「100,000年後の安全」を見ました。
    日本を含む原発を持つ国々が、放射性廃棄物の決定的な処理方法も持たずに
    発電事業を続けているのに、フィンランド人は慎重に計画して実行していることに、
    さらに彼らが100,000年後の先まで未来の人類が「オンカロ」に近づかないように
    するにはどうするかまで真剣に検討していることに感銘を受けました。
    物静かに、しかし深く深く考えるフィンランド人のスタイルには学ぶべきものがあると
    思いました。
     

  • >junsinさん
    (物静かに深く考える・・・)まさにそこが自分が一番惹かれているところですね。静けさを大切にする皆さんが多い、その静寂から多くのことを聴きとっている姿・・・・日本も昔はあったのだと思うのです。

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