昨日は第一生命ホールに400名弱のお客様、ありがとうございました。
このプログラム表紙デザインはヴァイオリンメンバーのM君です。
(彼は大学在学中も同様にチラシ・パンフレットのデザインを手がけていました)
第15回から共演の機会を頂いているアンサンブルフランの皆様との時間、
いつも名残惜しいのですが 今期は次のウィンターコンサートまでご一緒です。
秋からリハーサル再開です。
このホールとのお付き合いも長くなってきました。
メンバーも充分に響きの特性を知っていて 判断力を持って演奏できる技量があります。
33年にわたり積み重ねられた力が、その形を変え質を変え、それでも変わらない「自由なアンサンブルする力」を継続させてきました。
今回、コンサートマスターが変わりました。
今春急遽これまでの団長兼コンサートマスターであったS氏がお仕事の都合でロンドン赴任。
(ちなみに同じコンサートマスターであった某企業オーケストラも後進に託されています)
ということで新コンサートミストレスのFさんと始まった 新たなフランアンサンブルの歴史1ページ目でもありました。
ステリハを聞きに来てくれたお弟子様撮影。
今回のプログラム、静かな音の部分が非常に多かった内容だと思います。
どんな小さな音でも客席に届けてくれる素晴らしいホールです。
前の日から東京入りした智子さん撮影。ちょうど吉松隆「鳥は静かに」の最中だということ。
写真を送ってくれました。鳥の羽根のようだ・・・とコメントが。
コンサートはまず
ラウタヴァーラ「ベラ・バルトークのためのエピタフ」
序奏が大事だということをリハーサルの最後に言い残して・・・
皆さんその通りの素晴らしい音を奏でてくださいました。
バルトークの時代にタイムスリップするかのような不思議な音を挟みながら、
次第にバルトークの名前からなるテーマを展開させてゆきます。
このようなタイプの作品に対して音色の種類がとても増えてきたフランです。
ラーション「小セレナーデ」
変わって軽妙な、おしゃれな、上品な、平常心な・・・・・そんなセレナーデです。
この曲はきっと多くの皆さんの耳に残ったことと思います。
特に第1楽章は・・・・いえ、第4楽章は・・・・
同じなのです。この2つ。種明かしをしますと、もともとの楽譜には第3楽章までしか音符はありません。
第4楽章については、「第1楽章をリピートせずに演奏」という指示です。
バーバー「弦楽のためのアダージォ」
この曲だけプログラミング的に異質だと、打ち上げの席でコメントしてくださったロンドン赴任の団長。
そのとおりであります。選んだコンセプトが違います。作品の質も音の扱いも違います。
課題を残した演奏でありました。でもこの曲、丁寧に楽譜を見ていくともともとの室内楽に求められた
「小さな世界」をデリケートに紡いでいるのですね。意図をちゃんと音として表現できなかったとしたら、
それは指揮者の責任だな・・・・・次回への大きな課題です。
休憩をはさみ
吉松隆「鳥は静かに」
2006年以来の再演です。4年も経過していたか・・・とあらためて思いました。
その間に様々なことがありました。哀しみ・静寂・原風景・無・・・・そんな世界をいつも1音1音から感じる作品です。あきらかに2006年とは違う演奏になりました。私自身も変化しています。メンバーも4年間で様々な体験と演奏経験で音のパレットが増えました。
この演奏へのおほめの言葉が多かったと伺いました。ありがとうございます。
幼いころ、自分の肩や頭の上や枕元にいた鳥たち・・・そんな日常の中で常に感じていた
羽音、小さいけど確かにある鳥の息づかい、小さな命が天に召される時の自分の手に残ったぬくもり、
今回はそんな記憶に寄り添うような音をフランの皆さんは作り上げてくださいました。
バルトーク「ディヴェルティメント」
はっきり申し上げてこの作品は難しいです。しかし、ここまで綿密に演奏をしてくださったこのアンサンブルに
自分は大きな拍手を送りたいです。
「この曲は冒頭で決まってしまいがちになる・・・」ことを恐れていました。
そんな簡単なものじゃね~ぞ、という視点で3楽章を構成しました。
バルトークが本当に目指したフォームは演奏的に非常に難しいところもあります。
逆に楽譜の通りにやれば「なんだ、こんなにすっきりゆくではないか」というところもあります。
絶対音楽と民俗音楽の素晴らしい融合だと思っていますが、作品の場面場面でそのバランスが様々な姿で現れる名曲です。
新コンサートミストレスはじめとして各トップのソロもお見事!
アンコールは同じバルトークの「ルーマニア民族舞曲」より3曲。
5曲の異なる作品の味付けもそれぞれお楽しみいただけましたら幸いです。
大きな課題は次回、挽回を目指します。
たくさんご来場頂きました。皆さんにお目にかかれなかったのは残念で申し訳ありませんでした。
77期の皆さんも、モニター越しにロビーの様子を見ていた時にお姿を発見!
本当にありがとうございました。
レセプションです。ロンドン在住団長S氏の御挨拶。
きっと日本語をたくさん話したくて仕方がなかったのだろう・・・というのが多くのメンバーの感想??
(^
^ゞ
楽しいご挨拶、そして引き続きいつものように司会進行を。
素晴らしいソロの数々も奏でてくださった新コンサートミストレスFさん。
本当にお疲れさまでした。
いつも落ち着いていらっしゃるので緊張なさっていたとは気が付きませんでした!
次回もよろしくお願いします。
ということでアンサンブルフラン次回は2011年2月13日(日)です。
私には珍しく北欧作品が入りません。
ぜひお越しくださいませ!
皆様お疲れさまでした。ありがとうございました。
コメント
コメント一覧 (2件)
アンサンブルフランはいつも大人の雰囲気ですね。
能力とセンスがともにハイレベルの集団だからでしょう。
そして、今回のプログラムはまたひときわ上質のラインナップ。
聴く前から期待感ばかりか、不思議な安堵感があります。
演奏が始まるや、指揮者と奏者の揺るぎのない信頼関係が感じられました。
こういうコンサートは本当に深い満足感を作り出しますね。
やっぱり、吉松隆「鳥は静かに・・・」。曲も演奏も、これこそ日本人の感性。
最後のバルトークには降参しました。「よくこんな曲を作ったもんだ・・・。」
そして、それを指揮し、演奏できる人たちが居るとは、何と言うこと!
「数学的な構築」とはどのことだろうと考えているとなぜか歯が痛くなってしまい
ました。すみません・・・。
バーバーは情緒に溺れないところがさすがでしたが、個人的な好みでは、もう少し
立体感があったほうが・・・と思いました。
また、こんな品の良いコンサートをと、楽しみにしています。
>junsin様
今回もご来場ありがとうございました。
メンバーもご感想には嬉しく思うことと思います。確かに30年以上培ってきたアンサンブルの力というものは、楽器の技術とは別に大切なこのグループの才能になっていると思います。
時間をかけて育てるもの、それが良いアンサンブルだと思います。
バーバーへの課題は次回のプログラムでもしっかり取り組みたいと思います。
いつもご感想ありがとうございます!