アンサンブル・フラン創立40周年記念ウィンターコンサート2017終演

 アンサンブルフランの皆さんとのご縁も、四半世紀となりました。

第15回定期演奏会は1992年の初夏のこと。そこからご縁をいただき定期演奏会&ウィンターコンサート(ニューイヤーコンサート)の共演回数も数えるところこの公演で19回目。
いつのまにかメンバーの皆さんも人生一回りを越えていらっしゃる人が増えてきました。

創立40周年コンサートシリーズの初回となる今回は、私がこの19回の中で最も多く共演してきた
英国&北欧の作品を並べました。北欧の弦楽オーケストラレパートリーが増え、北欧道を進んできた初期の歩みは、アンサンブルフランのおかげです。心より感謝申し上げます。

前半は北欧チーム。まずはスウェーデンの作曲家、ダグ・ヴィレーンの弦楽のためのセレナーデ。この作曲家の代表曲にもなっていますが、お洒落でハイセンスな美しさがあります。ユーモアも。フランでも2度目の演奏。
次に、フィンランドのウーノ・クラミ。ピアノ協奏曲第2番を昨年ハチャトゥリアンで出会ったピアニスト、秋場敬浩さんをお迎えして演奏。大変に独特な色合いを持つ作品。第1楽章ははじまっていきなりピアノのカデンツァが6分ほど続くのです。その中に作品のほぼ全容が盛り込まれています。
弦楽オケも音を捕まえるのがなかなか難しい曲でしたが、様々なリハーサルの積み上げでフランの皆さんならではの緻密なサポートができたかと思います。また秋場さんとのソロ合わせの中で、明確なイメージをソリストの演奏からいただき、どんどん作品の姿がくっきりとしてきました。
北欧独特の暗さ、透明感など持ちつつ、第3楽章の激しさは構成の上でも魅力的な作品と言えると思います。この作品の世界を見事に描き出してくださった秋場さんには深い感謝です。

秋場さんとは今年9月に愛知室内オーケストラの定期演奏会においても共演します。

後半のプログラムは英国チーム。
ある意味フランの十八番である2曲を並べました。私自身もこの2曲で過去共演しています。1998年のこと。いろいろ忘れがたい想い出も含んだ回ですが、あの当時よりも作品の内側に迫りたいと思いながらの取り組みでした。

エルガーのセレナーデは、2楽章の美しさは秀逸ですが、3楽章のバランスが難しいと常々思っています。今回のテンポ設定はそれを意識してのもの。

ブリテンのシンプルシンフォニー。これもフランの皆さんも繰り返し演奏されています。手の内に入っている作品ながら、私自身も様々な新たな視点と発見をもって今回取り組みました。どこまでスコアの細部を再現できるか、どんな作品でもそうですがその視点を厳しく持ち続けることの大切さを、あらためて教えられた公演でもありました。第3楽章は様々な想いがそこに含まれていたと思います。

アンコールは、ディーリアスの二つの水彩画。これは初共演第15回定期の時の初めの作品でした。
「原点回帰!」のような思いを込めて、この曲に。そして25年前よりは、個人的に納得のゆく演奏であったのではと感じています。私自身が成長していないと、まったくもってお恥ずかしいばかりです。

お客様からも温かな拍手と嬉しいお言葉を頂きました。
フランの皆さんのこれからの歩み、豊かな音楽の人生をお祈りします。

 

追記:この公演を客席でお聞きくださったメンバーの秋田昌幸さんが3月17日肺炎で亡くなられました。長年共演を重ね、飄飄とした演奏姿が忘れられません。1年前のシチェドリン&エングルンド公演は出演されていました。謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福お祈り申し上げます。

 

 

 

 

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