神戸大学交響楽団第66回定期演奏会終演

 初共演は1990年。それ以来折々共演を重ねてきた神戸大学交響楽団(神大)。初共演の時のメンバーは、今も交流があります。昨年は100周年記念の特別な年で、東京公演も共演しました。101年目の今年、再びご一緒できました。

近年の神大オケは、ソリスティックな力を持つメンバーも増えています。幼少から楽器を学んできた弦楽器のメンバー、管楽器も良い音と音楽性を持つメンバーに多く出会います。今年は新入生のヴァイオリン入部者は全員楽器経験者ということ。時代を感じます。

ここ数年続けて共演してきたのは、メインがすべて北欧の作品。ニルセン、シベリウス、シベリウスと続きました。
いずれの公演も強い手ごたえを感じ、学生たちの力が公演で発揮された素晴らしいステージだったと思います。

今年、プログラムの傾向が今までと違います。
メンデルスゾーン「ルイ・ブラス」(学生指揮者)リスト「前奏曲」フランク「交響曲」、
実は1995年にもフランクの交響曲で共演しています。そう、震災の年です。

今期は学生指揮者もメインは女性、コンサートマスターは3名とも女性、弦楽器のトップも女性率が高く、
昨年とはまた一味違った雰囲気。この学年とは私は3回目の共演。その共演回数の多さも一因、そして何よりリーダー学年の横のつながりの強さと、リーダーたちの力、人間力、後輩を見守る大きな愛情等々、温かさに満ちた今期の神大オケだったことも、きっとこの日の演奏の成功に繋がっていると思いました。

兵庫県立芸術文化センターでの演奏は神大オケとはニルセン以来ですが、このホールを大きいと感じないほど、何かステージの存在の学生たちが頼もしかったです。

メンデルスゾーンを指揮した今西三千絵さんはリストでコンサートマスターも務めましたが、非常に音楽の力のある学生。専門は理系の研究者。メインのコンサートマスターの内田小百合さんとともに、後輩たちを導いてきた立役者でしたね。リストもフランクも木管+ホルンが非常に重要。それぞれのセクションが最後まで切磋琢磨して、見事に結果を出していました。美しいハーモニーとソリスティックな役割の両方を自主的な練習の中でも磨き上げていました。学生オケは、その自主性が何より大事だと思っています。
そして金管セクションの力も、客席に強い印象を残していました。若い学年のリストでも充実の響きを聞かせていました。来年以降も楽しみですね。

リストは、偶然ながら6月に関西学院交響楽団とも共演しています。実は来年別の学生オーケストラでもこの作品に取り組みます。学生オーケストラが好む作品なのでしょうか・・・・
神大オケの場合、メインのフランクが決定してから選曲しています。動悸つながりを意識しています。学生たちの中でも、その動機の持つ意味を考えて取り組んでいたようです。

フランクの持つ魅力は自分は1990年のブザンソン国際指揮者コンクールの時に、審査の間に聞いたロワール響の教会での演奏を忘れることができず・・・いつもその体験を追っているように感じています。作品の和声変遷と動悸と構成のバランスにすべて納得ゆく演奏ができること、聴けることが難しい・・・そう感じる曲ですが、今回神大オケの若い皆さんと、少しその理想に近づいたものができたか・・と感じました。届かぬ部分もありましたが、本番のステージでまた階段を上がっていた学生の力に、心から拍手を送りたいと思います。

アンコールは「そりすべり」、これはよい流れになったようです。

過去の共演OBの皆さんも来場くださいました。初共演の時のメンバーもはるばる遠方から駆け付けてくださいました!そろって、後輩たちを絶賛。本当に有難く嬉しかった。

学生オケとの共演は多い自分です。時間をかけて積み上げてゆくこと、リハーサルをしっかり重ねられること、
その歩みは大切に思います、そして自分も大事に感じる時間です。指導者、指揮者からの一方通行ではなく、学生たちが自分たちで咀嚼し考え切磋琢磨し、そしてリハーサルの回ごとに次の目標を設定できること・・・そんな理想的なことも今回うまく流れていたと思います。学生のリーダーたちの力です。そして折々ご指導くださる、トレーナーの先生方。的確なポイントのご指導がありました。深く感謝申し上げます。

100年、101年目という時期をご一緒できたこと、感謝です。本当にありがとう。どうぞこれからもさらに神戸大学交響楽団が充実の活動を続けますように祈っています!

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