Kiitos Jaakko! ~R.I.P 追悼 Jaakko Kuusisto

Jaakko muisto

2022年2月23日、Jaakko Kuusisto永眠の知らせが入った。
昨年来ご自身のSNSなどでも脳腫瘍と闘っていることを公表し、言葉が綴られていた。手術も施し、しかし難しい部位であったということも書かれていた。今年に入り友人のJoukoから、Jaakkoの状況が厳しくなっていることの知らせが届いた。ずっと案じていた。

Jaakko Kuusisto(1974.01.17生まれ)はフィンランドのBachと言われることもある音楽一家Kuusisto家の長男。次男がPekka Kuusisto(1976.10.7生まれ)。二人ともヴァイオリンの達者な兄弟として幼いころからフィンランドのメディアでも取り上げられるなど多くの人に知られ愛されてきた。父Ilkkaは作曲家、また祖父Taneliも作曲家・指揮者

私は2000年10月から1年間の文化庁芸術家在外研修生としてラハティ響でOsmo Vänskä監督のもとで勉強していた時に、Jaakkoに出会っている。彼もラハティの新しい首席コンサートマスターとしてスタートしたばかり。そしてOsmo師匠との二人三脚でラハティ響の飛躍を成し遂げたと言ってもよいと思う。その姿をずっと見てきた。BISレーベルによるシベリウス全集はすでにスタートしていたが、新たな収録も2000年以降たくさんあった。またユニークなポップス系の録音やコンサートも増えたのもこの時代。Sibeliustaloーシベリウスホールの杮落しが2000年3月、この新しい木のホールが大活躍を始めた時期だった。

Jaakko 2000.

この写真が、自分の研修開始から二か月目。ラハティ響のシベリウスホールでの年内最後の公演だったと思う。当時まだ26歳だったJaakko. 若いながらコンサートマスターとしての手腕は確かなものだった。作曲も指揮も後年才能を発揮してゆくわけだが、確かな音楽の基礎力と耳をもって、オーケストラ内の分奏も手掛けたり、メンバーへの的確な指示、指揮者とのやり取り等々、見ていてその仕事ぶりは本当に素晴らしく気持ちよいものだった。Jaakko独特のボウイングも面白かった。
一度Osmoさんとともにラハティの私のアパートにお迎えして和食(もどき)でおもてなししたことがある。13歳も年長の指揮者で、日本から何をしにきたのか?と、きっと当時不思議に思う部分もあったと思う。1年間の研修期間では自分の役割は、すべてのリハーサルに立ち会いながら、新しいホールでのバランスチェックや、時々分奏のお手伝いをしながら、ひたすら新しい作品、そしてシベリウスはじめフィンラドの作品の勉強をしてゆくことが一番の目的。BISの収録も多かった時期、立ち会いながら本当にいろいろな経験をさせていただいた。その中でJaakkoとも音楽的な短い会話を折々していた。

プライベートな部分は全く知らず、音楽家Jaakkoのことだけしか語れないが、弟Pekkaとの音楽的キャラクターの違いは本当にユニークだと思ってずっと二人を見て聴いてきた。兄は正統派、弟は天才肌とよく言われている。確かにそうだが、兄もポップス系統の仕事をするときの力はなかなかのものだった。アレンジの才能も素晴らしくて、それを収録した
MUSIC というCDの収録時ホールで立ち会っていたが、楽しい仕事だった。

Lahti
Jaakko Bach

こちらはJaakkoによるBach無伴奏ソナタとパルティータ。詳細はリンク先をご覧ください。
Jaakkoらしい実直で素朴な音とスタイルによる演奏。これはお弟子様が以前見つけてくれてお借りしたもの。
こんなに早くお別れすることになると思わず。あらためて聞くと、実に染み入る演奏。作曲家で指揮者のJaakkoらしいアプローチだと感じる。

Jaakko ja Pekka

こちらは兄弟での収録。この二人の幼いころからの成長を、きっとフィンランドの皆さんはずっと見てきたのだろうなと思う。Tapiola sinfoniettaとの共演。

Ilkka CD

そしてこちらはKuusisto一家のCD. 父Ilkkaの作品をJaakkoが指揮をしてPekkaがソリスト。ラハティ響での収録。
シベリウスホールでも度々御父上の姿はお見掛けしていた。

作曲家Jaakkoとしてはこちらにまとめられているが、個人的には犬のカレワラ、Koirien Kalevalaが印象に残っている。
そして指揮者としてのJaakkoを実は私は見ていない・・・。ラハティで室内オケを指揮する姿は知っているが、ポストを持ったオーケストラで活動していた姿に立ち会うことはできなかった。

LKO

自分にとってのJaakkoは、やはりラハティ響の素晴らしいコンサートマスターであり、この全集完成の大きな力となっていた姿、それが強く記憶に残っている。
弟Pekkaの悲しみは深いことが、彼がフィンランド語でつづったメッセージから感じられる。音楽人生いつも兄とともにという姿を、多くの人が見てきている。心より哀悼の意をささげたい。

世界情勢が緊迫して、そのすぐ隣国であるフィンランドも緊張をもって様子を見ていると思う。
そんなフィンランドから昨夜届いた悲しい知らせ。私自身まだ信じがたい想いが強いが、病と闘ってきた二年余りの歳月、
その苦しみから解き放たれ、Jaakkoの魂が安らかな眠りにつきますことを心からお祈りします。
Kiitos Jaakko.



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