<森と湖の詩>

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北欧・英国・そしてフラン

アンサンブル フラン 創立25周年記念 第25回定期演奏会 特別投稿

2002年6月2日(日) 14時開演 第一生命ホール

チャイコフスキー 弦楽セレナード ハ長調 作品48

ガーシュイン   ラプソディ・イン・ブルー(構成 山下洋輔 編曲 上野哲生 弦楽合奏版)

エングルンド   交響曲第4番 「郷愁」


 フランとご縁を頂いて、私も早10年。第15回定期から数えること8回ご一緒している。演奏歴を追うと楽しいものである。「浄夜」回合宿での小鳥との戯れ、「ブリッジバリエーション」回合宿練習場の鳥の舞、湯煙の思い出、忘れられた靴事件ナド等。


 この10年、世相の激変は言うまでもないが、音楽界の動向も激しかった。
明治元年の西洋音楽導入からは134年経過、ゆるやかに育ってきたはずのものがここへ来て、変化のスピードが速い。クラシック音楽にドイツ、イタリア、オーストリア、フランス、という王道以外の参入が増えたのもこの10年。私が英国、北欧の音材輸入代理店!を決め込むことにしたのもこの10年。フランという素晴らしい店舗が存在したからできたこと。英国という海の幸が我々の口に合うかな、とお膳にちょっと載せたのが、15回定期のディーリアス。海続きで北上し、バルト海に流れ込んでつかまえたフィンランド産のシベリウスと英国の高貴な香りウォルトンをお出ししたのが94年のニューイヤー、そうして今回をあわせて8回、全て北欧・英国の海の幸を老舗「フラン」で共に料理したことになる。シェフの腕も当初より少しはましになったであろうか・・・。共に国土の周りに海を持つ3国、3地域、不思議と音の香りが似ている、親しみを覚える。海が育ててくれたためか、波の音を耳にいつも持っているためか、命の源を大事にしたくなる優しい感性が音に宿っているように感じてきた。それが今「癒しの音楽」の代表格になっている。しかし、思う。


 どの国にも癒しの音楽は古から存在していた。島唄というものも、最近世界各国から登場している。音、というものが、人間という生物の中から自然に紡ぎだされてきたものが、即ち本来の音楽であり、生命が感じる無意識の秩序を法則化して構築したものが西洋音楽の王道において称えられてきたクラシック音楽の形であった。社会的な役割に密接に関連し、権力と連動し、虚飾と虚偽との隠れ蓑のように使われ、本来の音の持つ力、魅力をいつのまにかすり替えられてきた哀しい歴史も同時に持つ音楽。そんなクラシックの王道から少し距離を持つ北欧・英国。実は弦楽オケ作品の宝庫である。老舗「フラン」はまだ輸入を続けてくれるであろうか・・。
25周年を迎えたこの老舗の素晴らしさは一言、支える人々の魅力である。番頭さんに、旦那さん、若旦那さんに、支える女将さん、看板娘、放蕩息子もいるようだが、親戚のおじさんがしっかり首根っこを押さえる。新参者もすぐに酒の肴にされて、化けの皮が剥がれる。なんとも賑やかで楽しい場所だと思う。25年、ご夫婦でいうと銀婚式!素晴らしい歴史である。


 ところで「あーきらめましょお、あきらめましょお〜」嵐のような日本のテレビ情報に圧倒されている中で聞こえてきたCMソング。目下お気に入りである。地球号を維持するためにも 国家で社会で家庭で何か一つ、諦めましょ!譲りましょ。いらんもの捨てましょ。忍耐の国、フィンランドで学んだ一番のことでした。
                                              

 2002年6月2日 ニッタユリ

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