音楽界だけではなくどの業種も携わる人の命を縮めながら突進する日本。どこへ向かうか誰のためのものかわからぬまま、はりぼての文化事業を掲げて頭でっかちの国は世界を傍観している。豊かさと忙しさは同意ではない。音楽家が忙しい国家は欧米他にも存在するが日本は世界記録ものだ。
日本は経済状況を映し十年前に比べてコンサートの数は激減。企業のメセナ活動も減少。外来アーチスト、オーケストラの聴衆の数も減っている。一方バブル期の副産物であるホール建設は予定どおり行なわれ、現在首都圏を中心にホールが溢(あふ)れている。
新しいものを語るのは希望に満ちたことだ。しかし現実はホールごとに聴衆獲得合戦が広がり、需要と供給のバランスが明らかに悪い。そのため新たな聴衆獲得への工夫が数多く見られるが、信じがたい数のコンサートに通える生活をいったいどれだけの人が送れるというのか。
日本の社会状況を再検討しなくては無理な話だ。演奏会の開催曜日を週末に移した楽団もある。そして音楽家の忙しい日常は続いていく。(指揮者)
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