世の中、情報という刺激物の肥料に満ちている。耳は肥え、腹は肥え、目は肥える。音楽の分野でも、世界中から音楽情報がもたらされ演奏を聴く機会が豊富に与えられている。音楽家を志すものにとっては願ってもない環境。
しかしである。豊富な肥料で華々しく花開かせても翌年には枯れてしまうことがある。自分の力で根っこを張り巡らす努力が必要である。はじめは小さな花から。やがて毎年美しく花開く。そして深く広く根を張ることで演奏の幅も広がりさまざまな花を咲かすことができると思うのである。
欧州の名指揮者たちは汗をかきながら根を張り大輪を咲かせてきた。その中では異色の存在だったが、まぎれもなく最も華麗な花を咲かせた指揮者カルロス・クライバーの死去、心から哀悼の意を表したい。(指揮者)
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